English as a tool to connect to the world – 脱北した少女に僕らが学ぶ事

この動画を見た事がありますか?



 

UK発の非営利団体”One Young World”が2014年にダブリンで行ったサミットでの脱北者パク・ヨンミ(Park Yeonmi)によるスピーチ。私はWired誌のインタビュー記事で初めて彼女の存在を知って、少し調べていました。

 

13歳で脱北した自信の経験を通じて北朝鮮の惨状と、北朝鮮国民の開放の為に今も活動しています。

 

 

彼女に関する情報ソースは多く、THE FACTというネット番組でも彼女のインタビュー動画を公開しています(「美し過ぎる脱北者」という流行にのっかった、安易で下衆なタイトルでその内容を台無しにしているけど)。

 



 

ただ、このブログは英語学習ブログであってPolitical issueを取り上げて意見申すものでもないし、それよりも動画を見て頂ければアナタの心と常識を揺らすモノが疑いの余地なくあると思うので、この記事では彼女のこの英語でのスピーチに注目したいと思います。

 

 

見て分かる通り、彼女の英語はとても上手い。非ネイティブとしては全く申し分ないレベルで習得しています。ただ、私は彼女の「英語の上手さ」という極めて表面的な要素よりも、彼女のスピーチを見て、「英語の意義」というものに改めて考えさせられました。

 

 

Access, Survive,そしてConnect

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彼女によれば、ハリウッド映画など諸外国のメディアは北朝鮮国内では厳しく規制されていて、彼女の親友の母は007のDVDを見ただけで処刑されたそうです。一方で、北朝鮮から見れば「違法メディア」である海外映画や音楽の北朝鮮国内への浸透は急速に進んでおり、政府の検閲はもはや追いついていない。

 

北朝鮮の若者はラジオから聞こえてくる洋楽や違法に入手した映画DVDに「どうやら国外に存在する自由な世界」を見いだし、文字通り”必死に”海外メディアへのアクセスを確保しているワケで、彼女もまたその一人でした。

 

驚くべきは、彼女がいかにして英語を身につけたのかー。

 

なんと、アメリカドラマの「フレンズ」を何回も何回も見て覚えたそうです。

 

自由のメディアを渇望する北朝鮮の若者は、まさに情報への「アクセス」の為に英語を身につけたワケです。海外メディアそのものが禁じられている北朝鮮にあっては、当然、映画の翻訳版も字幕もなく、洋楽CDに対訳歌詞カードがついているワケでもありませんから、当然、情報へアクセスし理解するには自分が英語を理解しないといけない。

 

情報への絶える事のない「渇望」がそれを可能にしているのでしょうが、これは日本人にはないマインドです。フレンズが英語学習に人気というのは日本でも同じですが、実際にそれを何度も見て英語力を身につけられる人は殆どいません。パク・ヨンミにとっては「処刑されるかもしれない」というリスクを犯してでも見たかったドラマは、私達にとってはただの人気ドラマに過ぎず、ディスクがすり減る程に見続けるものではないのですから。

 

日本人がお気楽だ、という話ではありません。日本には色々な英語学習メディアが合法的に存在するワケだから、普通にそれを使えばいいだけです。しかし、映画やドラマ、音楽といったものを本当の意味で「英語習得の糧にする」というのは、雑誌やネットで言われているほど簡単な事ではなく、彼女のようにもはや”motivation”というレベルを逸脱し、”desire”という衝動に突き動かさなければ無理だという事です。

 

 

彼女は、北朝鮮から中国、モンゴル、そして現在の韓国へと移っていきました。

 

 

その中で英語は生きるための術であった事は言うまでもありません。

 

 

そして、この動画で彼女は世界に向けて北朝鮮の悲惨さと自信の壮絶な体験を発信しています。これは彼女が英語を習得しているからこそ、可能だった事。英語はもはやアメリカ人やイギリス人とやり取りする為の「数ある言語の1つ」ではなく、世界中と繋がるための”common laungauge”なのです。日本人と韓国人、タイ人と中国人というように、アジア人同士が繋がるのもやはりまずは英語なのです。

 

動画で見るように、サミットに参加している様々な国からのオーディエンスと、動画を見ている私達に彼女は英語を通じて”connect”したのです。

 

改めて、英語というのは情報へのアクセスを可能にし、自分の世界を広げる事、そして自分の意志を世界中に伝えるための手段なのだと考えさせられた動画でした。日本という「進み過ぎた翻訳文化」を持つ、ある意味で特異な国に生まれた私達は、国内にいる限りにおいては英語ができないからといって、死ぬ事も無ければ、生活に困る事もありません。だからピンとこないかも知れませんが、やはり英語は重要なツールなのです。

 

 

北朝鮮のように、英語学習インフラが整っていない国でも英語は気持ち次第で身につけられるのだから、日本人も見習うべきだ、なんていうのは乱暴な話です。ですが、この動画を見ていると、これだけ学習ツールが整った国にいながら、「あの参考書がいい」「あのアプリがいい」「TOEICの点数が伸びない」なんて言って目先の小さな事にこだわっているのは平和ボケなのかな、などと、どこかで思ってしまいました。

 

英語に触れるのは主に6年間の学校生活であった私達はどうしても、英語を「お勉強」ととらえてしまう節がありますが、語学のもっと根底にある「アクセスし、サヴァイブし、そしてコネクトする」という本質に目を向けると、パク・ヨンミはフレンズのDVDディスクをすり減らすほど再生したように、私達もまた参考書をボロボロにする程の覚悟が必要なのかも知れませんね。

 

Transcription

 

最初の「北朝鮮から自由を求めて」の動画は、Youtubeの動画ページの”translation project”のリンクから、彼女がスピーチで言っている内容の英文をダウンロードできます。
彼女の英語はとてもシンプルで、文法的にもキレイな文章ばかりで、単語も大学受験用の単語帳で出てくるようなレベルです。非ネイティブにとってはお手本のような英語と言えるかも知れません。

 

字幕ではなく、英語のまま理解する事で彼女の訴える”indescribable world”を噛み締める事ができるので、是非、原文を見てみて下さい。

 

 
 

 

English as a tool to connect to the world – 脱北した少女に僕らが学ぶ事 was last modified: 9月 3rd, 2015 by Taka