TOEICのリスニング・パートを弱点から得点源へ 〜 米国有名大とハリウッドで実証された音声学的アプローチ

会社でとっさにとった電話が海外からだった。

 

“Hello? This is %&$%@□△”

 

“あーー、、、えーーー、、、、ソーリー、ソーリー、、、”

 

こんな経験がトラウマになり、海外からの電話にビクビクしてしまう。

 

アナタにはそんな経験は無いだろうか?

 

現在は、英語が得意だろうが不得意だろうが否応なく”英語でのコミュニケーション”を求められる場面が多い。

 

– たまたま取った電話が海外からだった

– WEBサイト経由で海外から英文メールで問い合わせがきた

– 海外との電話会議に出席しないといけない

 

一昔前までは海外営業職などのいわゆる”英語が得意なヤツ”が対応すれば良かった。
しかし、最近ではメーカーでも生産管理、品質保証、研究開発など色々な部署の人間が英語を使う機会が増えており、多くの人が焦り始めている。

 

その中で、最も多くの人が苦戦しているのが”リスニング”ではないだろうか?

 

相手が言っている事がいまいち分からない。
何度も聞き返すのも気が引けて、ついつい”yes,yes”と分かったような返答をしてしまう。そうすると話がどんどん進んでしまって、ついていけなくなる。

 

TOEICのスコアも600以上あるし、通勤時間にビジネス英会話用のCDやTOEICのリスニング対策用のCDを聞いているが、実際の会話やTOEICテストで“クリアに聞き取れた!”という実感をなかなか得られない。いつもどこかモヤがかかったように上手く理解できない。そういう状況が長く続く事で英語学習が苦痛となりモチベーションが下がっていく。

 

ただ、

 

このようにリスニングの伸び悩む人が大勢いる一方で、日本国内でしかも独学で勉強していても短期間で爆発的に伸びる人というのは事実いるのだ。

 

 

その差は何だろうか?

 

・使う教材の質の違い
・リスニングの練習にあてる時間の違い
・センスの違い

 

答えはどれでもない。

 

 

実は、英語学習の中である点に意識を向けるだけでリスニング力は途端に伸び始める。

 

日本の英語教育の現場では決して教える事のできないリスニングの本質。このグローバル化社会でこれ以上英語から逃げない為に実践するべきは、学校で教わった事の延長線上には無い。これまで一部の音声学エキスパートからしか学べなかったトレーニング法を行えば、英語をアナタのキャリアの武器にする事も、TOEICのリスニング・パートを「弱点」から「得点源」へと変えていく事もできる。

 

 

特にTOEICはリスニング・パートが全体の半分を占める事から、リスニングが苦手なままでは高得点は望めない仕組みになっている。
帰国子女などを除き、日本で生まれ日本で英語学習をしてきた人の場合、TOEICではリスニングが足を引っ張ってしまいスコアが伸びないケースが多い。

 

私自身、TOEICのスコアが700点台だった時期はいつもリスニング・パートの得点はリーディング・パートよりも低かった。しかし、自分の学習法を見直し、ある点を意識するようになってからリスニングの力がどんどん伸びていった。900点を超えた時には気がつけばリスニングの得点がリーディングを超えていたのだ。

 

この時に、学習の中で薄々感じていた疑念が確信に変わった。
それは、「中学・高校で教わったようなやり方ではリアルなコミュニケーションに耐えうるリスニング力は身に付かないのではないか?」というものだ。

 

キッカケは、大学でたまたま受講した「音声学」の授業だった。

 

興味があったワケではなく、単位を稼ぐために何となく受講したのだが、ただノートを取る講義ではなく、ヘッドフォンとマイクを使いながら徹底的に英語を聞き・話す訓練にフォーカスしたものだった。そこで私のリスニングのトレーニングに対する考えが大きく変わり、独学で英語を学習する時のメニューも音声学のセオリーを基本としたものに変わっていった。

 

そして大学を卒業し、社会人になり数年が経つうちに、大人になってから英語に苦労している人を沢山目にした。相談をもちかけてくれた人も多くいた。その中で、気がついたのはリスニングの訓練に関する考え方が根本的にズレているという事だった。

 

先ほど話した通り、私は音声学を基礎としたトレーニングを独学で勉強する際に取り入れていたので、それが「当たり前」になっていた。だけれど、大学を卒業して、ふと回りの英文科卒でも無ければ音声学なんて耳にした事もない人達と接していくうちに、自分の「当たり前」は他の人にとってはそうではない事に気がついた。

 

彼らの中では依然として、高校までの英語教育で染み付いた「まるで役に立たない学習法」がスタンダードである事に気がつくと同時に、本当に力がつく方法論は、大学の英文科とか英語学科のような狭いコミュニティーの中でしか認知されていない事に気がついた。

 

 

目次

あまりにズレてる僕らのリスニング対策

 

TOEICで500点〜600点そこそこ。日頃から英語を勉強している。でも、どうにも英語でのやり取りで相手の言ってる事が分からないし、TOEICのリスニングの得点も上がらない。どうにも「わかった!」という感覚が掴めない。

 

アナタがもし、こんなモヤモヤを抱えているのであれば、そもそも努力のベクトルがズレている可能性がある。それは、「参考書選びが間違っている」などというレベルの話ではない。どの参考書がいいか、などという問いは極めて表面的な問題で、それによって劇的に何かが変わる事はまずない。

 

大事な点なので強調するが、英語学習に関する情報が氾濫する中で、最も多いのが「どの参考書がいいのか?」という情報だ。例えば、ビジネス英会話を想定した場合、

 

“NHKラジオ実践ビジネス英語がいいのか?”

 

“究極のビジネス英語リスニングがいいのか?”

 

“英会話1000本ノックビジネス編がいいのか?”

 

こういった事に必要以上こだわる人が多い。そしてその向こう岸では、英語ができる人が個人の趣向で「これがいいんだよ」という情報を無責任に発信している。私も個人的にはこの中だったら”究極の〜”がいいという意見は持っているが、それは本当に細かいレベルでの話でしかない。

 

engbooks

 

 

問題はこういった細かいレベルの話ではなく、もっともっと深いところにある。
学習の方向性、つまりアプローチの仕方が間違っていれば何を使っても効果が得られない。逆をいえば、正しいアプローチを取っていればよほどの悪書を使用しない限り、結果というのはついてくる。

 

どういうアプローチでリスニングスコアを伸ばしていくか?というのはstrategy、つまり「戦略」のレベルであり、どの参考書を使うか?というのはtactic、つまり「戦術」のレベルの話だ。戦術は戦略を前提に作られるべきだが、大抵の人は最初からいきなり「参考書選び」という戦術の部分に時間を割こうとする。だから効果が得られない。

 

言うまでもなく、今回お話するのは「戦略」の部分となる。

 

 

その話をするにはそもそも、どうやったらリスニングの力が伸びるのか?という事から始めないといけない。

 

 

多くの人が考えるのは「なるべく沢山、リスニングのCDを聞いたり、英語のニュースを聞いたりする」というアプローチだ。沢山英語を聞くうちに耳が英語に慣れてくる。単語の知識も増えてだんだんと理解できるようになってくる。という論理だ。

 

戦略と戦術という枠組みで言うならば、

 

戦略:沢山の英語を聞き込んで、耳を英語に慣らしていく
戦術:CNNニュース、TOEICリスニング用CD etc

 

という事になる。

 

 

しかし、残念ながらそれは効果が無い方法の典型だ。聞いてるうちに耳が慣れる、なんてのは幻想でしかない。

 

 

私の話になるが、私は大学で英文科に入ったにも関わらず、最初の頃はリスニングは正直苦手だった。授業の大半はネイティブによって英語で行われる(日本語厳禁の授業も多かった)ので最初はとても苦労した。だからCNNやVOAといった英語ニュースから作られたCD教材を通学時間に聞いたり、洋楽ばかり聞いてみたりしたが、リスニング力が伸びたという実感を味わう事はなかった(まあ、洋楽は好きで聞いていただけだけど)。

 

 

どんなに英語を聞いても、ぶつ切り状態で何個かの単語を拾って、頭の中でその意味を繋げて何となく文章の意味を理解するというレベルを脱する事ができなかった。

 

 

毎朝同じ曲を聞いているのに、ある日それが理解できるようになる事はなかった。毎朝同じ部分しか聞き取れないし、同じ部分が分からない。英語を聞き続ける事によって耳が慣れていくのであれば、理屈が合わない。

 

 

さらに私を落胆させたのは、あまりに洋楽の歌詞が聞き取れないから歌詞カードをよくよく見てみたら、ほとんどが既に知っている単語だったという事だ。

 

 

アメリカ人しか知らないようなスラングならともかく、そこには受験生時代から積み上げた単語知識で既に学んだ単語が無数にあった。知っている単語すら聞き取れない、というのは当時の私には凄くショックだった。

 

 

アナタがもし、「英語を聞き続けていればいつか聞き取れるようになる」と考えているなら、その考えは即刻捨てるべきだ。

 

 

それは、いわゆる「聞き流し」であろうが、目を固く閉じて集中していようが関係無く極めて効果が低い。リスニングを伸ばしたいのであれば、まずこれを肝に命じて欲しい。

 

耳が英語に自然に慣れていく事が100%あり得ないわけではない。
しかし、既に大人になった私達はその能力が子供に比べて遥かに退化しているし、そもそも通勤時間や1日1時間程度の学習時間でどうこうなるレベルではないのだ。3年間、日本語が一切通じないような場所へ留学し、毎日テレビをつけっぱなしにしていて、常に英語を浴び続けるというような環境でなければ無理だ。1日30分、リスニング用CDや洋楽を聞いたところで、全くもって量が足りないという事。

 

 

アナタが聞き取れない24個の音

 

 

もしかするとアナタは、「英語を聞き続ける事は意味がない」という私の話が乱暴に聞こえるかも知れない。”聞き取る力を鍛えるのだから沢山聞くのは当たり前じゃないか”と感じたのではないだろうか?

 

それはごく自然な考え方だ。
腹筋を鍛えたければ腹筋に負荷をかけるトレーニングをする。リスニングを鍛えたければ耳に負荷がかかるように英語をたくさん聞く。極めて理にかなっているように思える。

 

でも、そうじゃない。
ここを100%理解して貰う事で、アナタはこの先「1日◯◯分聞き流すだけ」といった類いの情報に興味を刺激される事も、それによって貴重な時間を無駄にする事もなくなる。そして、無駄な情報をシャットアウトし、最も効果のある方法で自信を持って学習を進める事ができるようになる。

 

英語学習方法や教材については色々な情報が氾濫しており、ついついどれも気になってしまう。「これ効果あるのかな?」「なんか良さそうだな」と思ってしまい間違った方向へ時間とお金を費やしてしまう。それが英語が伸びない人の最も顕著な特徴だ。しかし、正しい戦略さえ持っていれば価値のあるものと無いものを簡単に見分ける事ができ、ブレずに戦術を組み立てる事ができる。

 

では早速だけれども、アナタは英語と日本語の「音の種類の数」がどれくらい違うか知っているだろうか?

 

 

日本語はまず

 

 

母音がa,i,u,e,oの5個だ。そして、子音はk,s,t,n,h,m,y,r,g,z,d,b,pの12個とするのが一般的だ。合計は17個。細かい事はさておき、17個という事を覚えて欲しい。

 

では英語はどうか? 諸説あるが一般的には母音だけで16個あるという考え方が主流だ。子音は25個ほど存在する。合計すると41個ほどになる。

 

要するに音の数が圧倒的に違うという事。
41-17=24個の音は日本語には無い音、という事もできる。

 

つまり、日本語の音では英語の音の半分もカバーできていないという事だ。
(厳密に言えばどれ1つとして同じ音ではないが、日本語の17音に近い音は英語にも存在する為、ここでは便宜上このように考える)

 

ここで質問がある。

 

日本人の我々は生まれながらにして日本語で育っているわけだが、ではそんな私達が「英語に存在して日本語に存在しない24音」を耳にするとどうなるだろうか?

 

全く馴染みのない変な音に聞こえるだろうか?それともそもそも聞こえないだろうか?

 

答えはどちらでも無い。

 

ここが一番厄介なところなのだが、私達(の脳)は無意識にその24音を「一番近い日本語の音に置き換える」という作業をおこなってしまうのだ。

 

これは非常に厄介な問題だ。

 

昔、宇多田ヒカルの”Can you keep a secret?”というドラマ”HERO”のエンディング曲があったのだが、その間奏部分で宇多田ヒカルが”Hit it off like this, hit it off like this oh baby.”と言っている。当時、私の友人がこれを「ヒデ、オムライス、ヒデ、オムライス欧米ね」と聞こえると言っていた。

 

コレ自体は凄くどうでもいい話なのだが、問題なのはその友人が意識せずとも「ヒデ、オムライス」と聞こえていた事だ。hitもitもoffもlikeもoh babyも全部簡単な単語なのに、全く違う音に聞こえている。

 

何故か?

 

それは脳が「一番近い日本語の音」に勝手に置き換えたからだ。裏を返すと、彼の脳は英語の音を知らなかった故に、日本語の音で代用するしかなかったという事。

 

ここで、先ほどの「英語を聞き続けていてもリスニングは改善しない」の話に戻ってみよう。

 

既にお分かりの方もいると思うが、「英語を聞く」だけではこの音の代用が永遠に続くだけなのだ。
つまり、英語の音を知らないまま”hit it off like this, oh baby”を1,000回聞いたところで「ヒデ、オムライス欧米ね」と1,000回聞こえるだけ。当然、1,001回目で突然”hit it off like this, oh baby”と聞こえる事はない。

 

つまり、

 

英語をただ聞き続けるというのは、ザルに水を流し続けるだけで、何の力にもならないのだ。

 

 

中学・高校の英語教育の大罪 〜 英語学習は本来◯◯から始まる

 

聞き取りの力を伸ばすのは聞き取りにあらずー。

 

ここまでの話をまとめるとこんな感じなのだが、これは「筋肉を付けたいなら筋トレはするな」と言うくらい矛盾して聞こえるかも知れない。

 

ただ、これは事実なのだ。中学高校の英語教師は間違ってもこんな事は言わない。だが心配しないで欲しい。
日本の英語教師なんていうのは、かなり質が低いのだから。余談だが中学の英語教師のTOEIC平均スコアは560点という統計データがある。つまり、英語教師なんていうのは「教えるレベル」ではなく「教わるレベル」なのだ。なので、ここで紹介している「本当にリスニングを伸ばす方法」は中学高校の英語教師が言わなくて当たり前と言わざるを得ない。本当に力がつく方法を知っている教師のスコアが500点台なんて事はあり得ないのだから。

 

 

ここで、アナタは1つの根本的な疑問を持ったのではないだろうか?

 

 

“じゃあ、どうすればいいんだよ?”

 

と。

 

答えはいたってシンプルだ。

 

 

まず何よりも発音を学習するのだ。

 

 

学校の英語学習の一番の大罪は発音をおろそかにする事だ。
アナタは学生の頃に一体どれだけ発音の練習をしただろうか?
そもそもアナタは発音記号が読めるだろうか?

 

 

多くの人は発音の練習を真剣にした記憶は無いだろうし、発音記号なんて「辞書にのってる意味不明な記号」くらいにしか思っていない。教わらなかったのだから知らなくて当然である。

 

english_class

 

中学・高校英語の領域では、単語・文法・読解にフォーカスが当てられており、発音をきちんと学ぶ機会がもの凄く少ない。これには2つ理由がある

 

まず1つは、学校の英語教育は「受験」にフォーカスが当てられている事。受験では発音の力を試すような問題はあまりない。つまり、発音を頑張ったところで点数に直結しにくいと考えられている為である。

 

2つ目は教えられる人がいないという事。はっきり言える事は「英語ができる」という事と「発音を教えられる」というのは全く別ものという事だ。ネイティブの講師であれば正しい発音を示す事はできる。ただ、問題はそこに理論がない事だ。私達は日本語のネイティブだから外国人に対して日本語の発音を実際に示す事はできるが、体系的に理論に沿って教える事はできない。名選手が名コーチではないのと同じで、「できる」という事と「教えられる」は全く別次元の話なのだ。

 

発音を教えられるのは「英会話が得意な人」でも「ネイティブ」でもなく「音声学」の領域で訓練を受けた人材であり、現在の中学・高校の英語教師でこの訓練をきちんと受けている人間は殆どいない。学校で出会えるとすれば先述の通り、英文科や英語学科で「音声学」の講義をとるか、通訳の訓練学校に通った時だけだ。

 

このような事情から、日本人は英語学習にあてる6年間を発音から遠ざけられた状態で過ごす事になる。

 

そして残念な事に、この状況は英語力を育む観点からいえば致命的な状況と言わざるを得ない。
6年間を使ってアナタが英語をどれほど使いこなせるようになったかを考えて欲しい。それこそがその証明だ。

 

 

アメリカの英語学習事情

 

英語を母国語とするアメリカとそうではない日本の英語学習事情を比較する事にアナタは違和感を覚えたかも知れない。しかし、英語学習の最先端はいつもアメリカにあるのだ。

 

まず強調しておかないといけない事は、アメリカでの英語学習というのは日本でいう「国語」にあたるものではない。アメリカというのは移民の国であり、もの凄い数の外国人が集まってくる為だ。

 

例えば大学。アメリカにはハーバード、コロンビア、イエール、スタンフォード、マサチューセッツといった世界的な名門校が存在する為、世界中から優秀な学生が集まってくる。その際、英語を母国語としない外国人は講義にきちんと付いていけるように、まず集中的な英語のトレーニングを受けるところが始まる

 

yaleuniversity

 

“世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法”の著者である斎藤淳氏(イエール大学元准教授)によれば、イエール大学では院生が学部生の講義を担当する為、その講義のクオリティを保つ必要から留学生の院生には集中的な発音矯正プログラムが用意されているとの事。また、著書の中で斎藤氏は明確に「英語学習は発音から」と定義している。発音が悪ければ、聞き取れない。聞き取れなければインプットの量と質が格段に悪化する為だ。

 

そして着目するべきは、イエール大学の発音矯正プログラムは音声学の分野で博士号(Dr.)を修了した人間が担当するという事。
発音は「英語が上手い人」に教わるものではない。音声学のプロから学ぶべきものなのだ。

 

世界中から多様な学生を受け入れている名門校でもやはり「何よりも発音」なのだ。

 

 

発音とリスニングはコインの裏と表

 

bothsidesof coin

 

発音をおろそかにする日本の英語教育は異常だという事を知って欲しい。日本では発音は「飾り」みたいなもので、「喋った時にカッコいいので、あるに超した事はないが、必ずしも必要というワケじゃない」程度に思っている人が多いが、それこそがリスニング力発達の一番の阻害要因。リスニングと発音の密接な関連性を知っていれば発音をおろそかにする事がいかに愚かな事かが見えてくる。

 

 

先ほど、「ヒデ、オムライス」の話の中で私は、“裏を返すと、彼の脳は英語の音を知らなかった故に、日本語の音で代用するしかなかった”と言った。そして、音の代用が発生するので聞き取りは意味がない、と続けた。

 

言い換えると、私達はこの「音の代用」というメカニズムを停止させ、「英語の音を英語の音として捉える」という事をしないといけないワケだ。
では、どうしたら「音の代用」は止められるのか?

 

私は”彼の脳は英語の音を知らなかった故に”と言った。
つまり、逆を言えば「英語の音」を脳が知っていれば代用なんてする必要がないのだ。

 

対応する音が脳の中に無いから、手持ちのもので代用してしまう。本来の音があればそもそも代用の必要は無いのだ。発音できる音は正確に聞き取れるが、発音できない音は聞き取れない。発音とリスニングはコインの裏と表なのだ。

 

 

ちょっと具体例をもとに考えてみよう。

 

cut(切る)

sad(悲しい)

body(体)

 

どれも簡単な単語だ。
では、これをどう発音するか?

 

多くの場合、

 

 

cut → カット

sad → サッド

body(体)→ バディー

 

 

となる。

 

ここで既に音の代用がされてしまっている。

 

我々日本人にとっては、

 

カットの「カ」

サッドの「サ」

バディーの「バ」

 

どれも子音+アでしかない。
つまり、上記の3つの単語それぞれの最初の音はそれに付く子音がkかsかbかという違いはあれど、母音は全部「ア」でしかないのだ。

 

しかし実際、英語ではこれらの音は全てまるっきり別物なのだ。

 

発音記号に直すと

 

cut → ʌt

sad → æd

body →bάdi

 

となる。

 

もう一度言うが、これらは全く別の音だ。

 

日本人にとって「ア」でしかないものが英語では3種類もある。
これが先ほど説明した 41-17=24個の「日本語に無い音」の正体だ。

 

 

cutとsadを聞き間違える事はまずないだろう。
では、year(イヤー)とear(イヤー)はどうだろうか?bat(バット)とbut( バット)はどうだろうか?恐らく文脈で判断している人が大半で「違う音」として認識できる人はあまりいない。

 

だからリスニングが伸びないのだ。

 

従って、アナタがまず行うべきは

 

 

cut → ʌt

sad → æd

body →bάdi

 

と「ア」に代用する事なくそのままの音で認識する力を養う事に他ならない。
その為には脳にこれらの音を記憶させないといけない。

 

 

 

英語の音を脳にインストールする

 

脳に英語の音を記憶させるというのは、スマホやPCにアプリをインストールする事に似ている。
英語の音ががインストールされていないと英語の音が耳から入ってきた時に、デフォルトとなっている日本語音が起動してしまい正しく処理できないが、一度インストールしてしまえば正しくできるようになる。

 

ただし、当たり前だが私達の脳は機械ではないので「規約に同意してインストールを開始する」というボタンをポチっとクリックする程簡単な作業ではない。

 

具体的に言うと、英語の音を新たに脳にインストールするのに必要なのは発音の反復練習だ。自分の口で正しい発音を何度も行う事で脳に刷り込まれていく。

 

実は、この「刷り込み」は単語を暗記したり文法を覚えたりする事に比べると短期間かつストレスなく行う事ができる。頭を使うというよりも繰り返し行って体に覚えさせていくという感覚だ。「仮定法過去完了」「時を表す副詞節」なんて悪魔に頭を抱えながら英文法を勉強した事に比べると、はっきり言って楽だ。

 

 

非ネイティブがハリウッドで活躍する為に行ったトレーニング

 

書店に出回っている発音用の教材も効果はあるのだが、さらに短期間で効率的に発音力とリスニング力を伸ばす為に登場したある研究が注目を集めている。

 

それは周波数だ。

 

最近の研究では日本語と英語では、音の周波数域が違うという事が分かっている。

 

日本語の波長数域 : 125 〜 1,500ヘルツ
英語の波長数域:2,000 〜 12,000ヘルツ

 

ヘルツというとピンと来ないかも知れないが、数字が高ければ高いほど「キーーーーン」という音に近づく。
数字が低いほど「ボーーー」という低い音になっていく。

 

先ほどの「日本語にない音」に加えて、日本語にない波長域に耳を慣れさせる事がリスニング改善へ効果がある事が分かっている。

 

補足すると、私達日本人が12,000ヘルツを聞き取れない、というワケではない。
ただ、言語として使われない波長域なので、それを聞き取る力が退化しているという事だ。

 

ちなみに、若者がたむろしないように使われる「モスキート音」は17,000ヘルツ。
30代を超えると17,000ヘルツ以上を聞き取る力が退化する為と言われている。つまり、この点からすると、英語の12,000ヘルツの波長域は決して「聞こえない」というレベルではない。しかし、日本語という言語の中ではあまり達しない波長域である為、聞き取りにくいのだ。

 

日本人にとって聞き取りにくい波長域が英語に存在する事が分かった。
であれば、退化してしまったその波長域を捉える力を取り戻す事が英語のリスニングに有効だというワケだ。

 

ここまでを踏まえると、リスニング改善の戦略は

 

1. 発音の訓練を通じて英語に無い音を脳にインストールする事
2. 英語にしかない周波数域を捉える力を復活させる事

 

の2点と言う事ができる。

 

日本の英語教材市場では、ここ数年になってようやく発音に目を向けた教材が書店にも並ぶようになった。
ただし、それはあくまでも1にフォーカスしたもので、2の視点を取り入れたものは残念ながら書店には並んでいない。

 

しかし、私達の英語学習の効果を最大限に引き出すヒントがハリウッドにある。

 

hollywood

 

先ほどのイエール大学が外国からの留学生を受け入れ、彼らの英語力を短期集中的に鍛え上げる必要があると言った。これと同様に、世界中から様々な才能が集まるハリウッドでも又、非ネイティブ俳優の英語力を短期間で鍛え上げるトレーニングを発達させる必要があった為、英語のトレーニングという点ではもの凄く進んでいる。

 

さらに注目するべきは、最近では多くの有名企業がこの「音声学」に基づいた英語学習プログラムに目を向け、従業員の教育に利用し始めている事だ。
発音は「カッコ付けるための飾り」ではなく「英語力を伸ばす上で何よりも優先する要素」であるという事実に気がつき始めている。

 

では、このイエール大学やハリウッド、一部の大手企業でしか手にする事のできなかった音声学に基づいたトレーニングを、学校に通う事なく独学でアナタも活用できるとすればどうだろうか?

 

私が英文科に通っていた頃には想像もできなかったが、私達を取り囲む英語学習環境というのはここ10年の間に劇的に進化しており、今ではハリウッド式の発音トレーニングさえ自宅で行う事ができるようになった。

 

スコット・ペリー氏という音声学の専門家は、ハリウッドへ進出した日本人俳優の指導や、大手企業 (日系大手自動車会社、大手航空会社、大手商社など)の英語指導で実績を残しているが、彼の監修のもとにある発音・リスニング用教材“リスニング・パワー”が作られている。

 

これは英語教材の業界では革新的な出来事だ。

 

音声学に基づいた教材というのは、これまで

 

・国内大学の英語系学部の講義
・海外の大学での留学生用プログラム
・ハリウッドでの非ネイティブ俳優向けプログラム
・大手企業の英語教育プログラム

 

という限られた場所でしか活用されてこなかった。
言い方を変えると、誰でも手に入るものではなかったのである。

 

さらに、このScott氏の教材は「日本語と英語の波長域の違い」にフォーカスを置いているため、先ほどの

 

1. 発音の訓練を通じて英語に無い音を脳にインストールする事
2. 英語にしかない周波数域を捉える力を復活させる事

 

という戦略にきちんと対応した戦術と言える。
現時点ではこの2点を網羅した独学用教材は他に存在しない。

 

 

詐欺まがいな教材と一線を画す今後も不変な音声学のアプローチ

 

英語教材というのはそれだけで巨大な市場が成立している。
書店にいけば分かる通り、ところ狭しと膨大な種類の参考書が並んでおり、「聞き流すだけ」教材も毎日CMを打っている。

 

その市場の中では毎日のように新しいツールや理論が生まれては消えていく。
効果の真偽はともかく、インパクトのあるタイトルを付けてとにかく売りまくる事が横行しており、我々消費者の「英語ができるようになりたい」という極めてシンプルで切実な思いは置き去りにされてしまっているのが実情だ。

 

セイン◯ミュがごり押しで宣伝していたエブリデイイングリッシュなんていう教材が流行ったかと思えば、今度は石◯遼の人気に乗ってCM攻勢をかけまくったスピードラーニングが流行っている。

 

今後これらの教材は消えて行き、代わりに似たような教材が登場するだろう。

 

これらの教材と、今回の音声学ベースのアプローチには決定的な違いがある。

 

それは、これらの教材が「英語を聞けば耳が英語に慣れていく」という何の根拠もない理屈に基づいている事。
前述の通り、英語を聞くだけで耳が慣れていく事はない。それは幻想だ。公式サイトを見てみると分かるが、音声学的な観点からきちんとした根拠付けができていないどころか、「頭の中をリラックスさせるため、英語の会話のバックにクラシック音楽を流しています。 」などといった、もはや意味不明な説明さえ登場している。

 

エブリデイイングリッシュの方は日本語と英語の波長域に言及しているだけまだマシではあるが、前述した

 

 

1. 発音の訓練を通じて英語に無い音を脳にインストールする事
2. 英語にしかない周波数域を捉える力を復活させる事

 

という2つの戦略のうち、後者しか言及していないのが問題だ。高周波数域を聞き取る力だけ鍛えても、英語の音を捉える事はできない。
英語学習は発音からなのだ。発音という土台なしに会話フレーズのインプットで英語力を鍛えようとするのは無理がある。埋め立てる前に海の上にビルを建てようとするようなものだ。

 

対して、リスニングパワーのアプローチというのはまさに音声学のそれであり、大学の講義や発音矯正プログラムで確かな実績を残してきた方法論であり、流行に左右されるようなものではない。まして「一日◯◯分だけ」といったような商売の道具ではないのだ。

 

アナタに必要なのは、流行とともに消えゆくツールではなく、きちんとした理論に基づいた実績ある戦略(アプローチ)とそれに基づいた戦術(教材)である。

 

 

あえて言っておくが、コレは万能薬ではない。

 

ただし、誤解を避ける為にいうと、リスニングパワーという教材は決して、それだけで英語がペラペラになるような万能薬ではない。
この教材は、

 

1. 発音の訓練を通じて英語に無い音を脳にインストールする事
2. 英語にしかない周波数域を捉える力を復活させる事

 

を通じて、発音の力とリスニングの力を向上させるという明確な目的のもとに作成されており、「英会話がペラペラになる」というものではない。そもそも英語力というのは、

 

・発音
・リスニング
・文法知識
・語彙・フレーズ知識

 

が融合して成立するものであり、このどれかだけで成立する事はない。
その意味ではエブリデイイングリッシュやスピードラーニングはこの一部だけを切り取って、あたかもそれだけで英会話がペラペラになるような誤解を意図的に植え付けているという点で信頼できない。

 

リスニングパワーは英語学習の土台となる発音とリスニングを改善させる為のもの。
その土台があって始めてその後の文法学習や語彙知識が実践に活きてくる。

 

英語力が向上していく過程とは

 

1.発音とリスニング力の強化
2.文法知識の強化
3.語彙・フレーズの強化

 

という3ステップをこなし、さらにその3要素を瞬間的に脳内で融合させる速度を上げて行く事だ。融合させるとはつまり、

 

英語を聞き取る:耳に入った音を正しく認識し、単語の意味を捉え、文法構造に沿って文章としての意味を解釈する
英語を話す:伝えたい内容を表す単語を正しい文法構造に沿って並べ、正しい音で発音する

 

という事である。
インプット(聞く)でもアウトプット(話す)でもこの3つの要素を頭の中で瞬時に融合させる事が必要となるワケだ。

 

この融合プロセスの速度を上げていく訓練が音読になる。

 

その意味でリスニングパワーは一番最初の基礎となる最も大切な発音とリスニングの部分を養うツールであると言えるが、それ以上でもそれ以下でもない。ただし、発音という要素が抜けた状態での音読は、チェーンが外れた自転車を漕ぐようなものであり、そこに動力は生まれない。せっかくの文法知識や語彙・フレーズの知識が意味を成さないのだ。

 

最初の方でお話した、「知っている単語にも関わらず洋楽の歌詞を聞き取れなかった」という私の経験が良い例だ。
いくら単語知識や文法知識があっても、それを聞き取る事ができなければ実践の英語力としては無価値なのだ。聞き取れないという事は裏を返せば正しく発音できないという事であり、それはつまり相手に伝わらないという事でもあるワケだから。

 

 

発音が根底に無い英語学習の質と効果は著しく低下する。

 

全ては発音から始まるのだ。

 

 

ここから始まる、英語上級者への道

 

 

言うまでもなく、現役サラリーマンにも、これから就職を控える学生にとっても英語力の習得は最も重要な命題だ。大手の人材コンサル会社の統計では、英語ができる人材とそうではない人材では年収に200万円もの格差が生じているとされている。年収以前に、そもそも内定率という部分で大きな格差が生じ始めている現実に眼を背ける事はできない。

 

仕事ができないクセに英語ができるというだけで評価される、といった弊害があるのもまた事実だが、英語が「優遇要件」から「必須要件」にシフトしつつある現状を見れば、英語ができない事のリスクは高まり、英語から逃げ続ければ己の市場価値の暴落を指を加えて見ている他なくなってしまう。

 

Fired from work close up. Human resources concept

 

年齢的に遅過ぎると悲観し、行動を起こせずにいる人もいるが、40代になってからハリウッドで通用する英語力を身につけた渡辺謙氏が証明したように英語力に年齢制限は無い。むしろ、間違った学習法で中途半端な英語を身につけてきた場合に比べると最短で上級者のステージへ達する事ができる。

 

繰り返し述べてきたように、英語学習に失敗するのは「発音」という最初のステップをすっ飛ばしてしまう事に原因がある。
そこをすっ飛ばしてせっせとTOEICの問題集をやる事は砂の城をせっせと作るようなものであり、リアルなコミュニケーションの場ではあまりに脆い英語力しか身に付かない。

 

 

☑️ 海外からの電話にも自信をもって対応できる

☑️ WEBサイト経由での海外からの問い合わせにも迅速にリアクションを取る事ができる

☑️ 英語での電話会議も自信をもって出席し、議論に貢献できる

☑️ 海外出張に出てしっかりと仕事をこなす事ができる

☑️ TOEICスコアを短期間で押し上げて外資系企業や海外営業職といったよりグローバルな仕事へ転職を実現する

 

 

こういった事は、正しいステップを踏み、実直な努力を続ければ留学などしなくても誰しもが実現できる。5年10年先の話ではない。1年後、2年以内というレベルでだ。

 

その為には、まず最初の大前提となるステップをきちんと踏むところから始めるべきだ。ダイエットグッズと同じで「一日◯◯分、◯◯するだけ」と言われるとそちらに惹かれる気持ちは分かるが、残念ながらその先に上記の未来は無い。

 

realskill

 

 

☑️ これまで、国内大学の英語系学部の学生、海外の大学の留学生用プログラムや大手企業での英語教育プログラム、ハリウッド進出の為の非ネイティブ俳優向けトレーニングといった極めて限られた環境でしか開放されていなかった音声学の専門家による訓練法で発音を磨く事ができる

☑️ 発音と表裏一体をなすリスニング力は飛躍的に向上し、英語をクリアに捉える事ができるようになる

☑️ 研ぎすまされた発音とリスニング力により、実践に耐えうる英語力の土台が短期間で形成される

☑️ TOEICなどの英語資格ではリスニングの得点が爆発的に伸びて行く

☑️ アナタの英語力はあなたの揺るぎないスキルとなり、キャリアへ直結する

 

 

アナタにとって、中途半端で実践で使い物にならない「とりあえず履歴書に書けるだけ」の英語力が十分なのであれば、理論付けが不確かなもっとお手軽な教材や、TOEICの参考書を買い込んでかじりつくようなアプローチでも良いのかも知れない。

 

 

しかし、ここまで読み進めてくれたアナタの目標はそんなつまらないモノではないハズだ。
英語を本当の意味で武器にする。その準備ができているのであれば、是非リスニングパワーをチェックしてみて欲しい。

 

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