社会人は英語ができなくても生きていけるのか?

 

 

英語 = 社会人の必須スキル

 

 

今となっては一般常識になりつつあるこの考え。
現時点での「話せる」「話せない」は置いといて、「必要性を感じている」という意味では多数派の意見となった。
私自身もよく周囲の人から「やっぱ英語は必要だよね、、、」「やんなきゃいけないよね」って言葉を聞かされる。

 

じゃあ、何で必要だと思うの?

 

と聞いてみると、

 

「これからの時代、英語くらいできないとさ、、、」

「英語ができないと就職(転職)で厳しい」

 

ってな答えになってないような答えが返ってくる。
間違っているワケじゃない。

 

ただ、動機として弱い。

 

英語に限らず語学の学習は想像以上に辛い。
私の周りの英語が堪能な人間に「同じ苦労をもう一度できる?」と聞くと「、、、嫌だわ」という。
方法論で学習スピードを加速させられるけど、決して楽な道のりではない。

 

そんな英語を学習する時、それなりに強い動機がないと苦しい。

 

「これからの時代、英語くらいできないとさ、、、」

「英語ができないと就職(転職)で厳しい」

 

私がこういう考え方が動機として弱いと思うのは、

 

自分の考えじゃないから。

 

色々なメディアで「英語が必要」「英語できないヤツ、ヤバイ」みたいな情報が発信されてるでしょ?

 

じゃあ、なんでこれからの時代、英語くらいできないといけないの?
なんで英語ができないと就職(転職)は厳しいの?

 

そこまで考えた事がある人はあんまりいないように思う。
つまり、「皆がヤバいって言ってるからヤバい」みたいなレベルで捉えてる。
これまでは英語ができなくても、どうにかなってきたワケで、心から「ヤバイ」と思っていない。

 

でも、

 

ここをあえて考えてみる事で、もう一段深い動機づけと肌触りのある危機感を持つ事ができるんじゃないか?と思う。
やっぱり、そういう人は強いし、やり抜く事ができる。

 

なぜ、世の中はこんなに「英語」の必要性をヒステリックに叫ぶのさ?

 

 

 

翻訳文化の終焉

 

translation never translate now

 

 

 

住んでる僕らはあまり実感がないけど、日本って国は翻訳技術が凄い国。
日本はシンガポールとかみたく西洋化によって発展したワケじゃない。
国が発展する上では、海外の情報や技術を取り入れていくワケだけど、それをするのに考えられる方法は

 

- 英語の教育に力を入れて、国民の英語リテラシーを高め言語の壁を取っ払う事で海外の先端情報へのアクセスを確保する
- 海外の情報を自国の言語に翻訳して皆がアクセスできるようにする

 

日本の場合、徹底して後者に特化したワケ。
海外でヒットした映画や本は必ず翻訳される。

 

翻訳の技術を昇華させて、海外の情報を身近に、しかも日本人が違和感なく理解できるようにしてきた。

 

例えば、”SISTER ACT”を「天使にラブソングを」って訳しちゃうセンス。
これは日本の翻訳技術の成せるワザで、Google翻訳ではできないもの。

 

一方で問題も。
よく、「日本の英語教育は和訳と英訳ばっかりだからいっこうに英語を話せるようにならねーんだよ!バカヤロー!」って言うじゃない。
これは翻訳文化が生んだ負の遺産。

 

そもそも翻訳の出発点というのは、映画でも小説でもなくて、国が発展する為に必要な情報だったでしょ?
医学書とか専門書、技術情報とか。
だから、英語を話すよりも「読む」に力が注がれたし、「和訳」に重点が置かれた。

 

日本の英語教育はこの翻訳文化をベースにしている。
だから、英語を話せるようにならないのは、残念ながら当たり前の話なんだよね。

 

下線部Aを日本語に訳しなさい

 

みんなやってきたでしょ?
だから話せるようにならない。

 

センター試験にリスニングが導入されたのだって2006年だしね。
遅っ。

 

とまあ、そんな一長一短な翻訳文化だけども、現在は絶滅の危機。

 

何故かというと、

 

・ITの普及で情報の新陳代謝が爆発的に速くなって、翻訳してては時代に追いつけなくなった
・結果、翻訳の重要性が薄れて優秀な翻訳家も育たなくなった

 

これだけ新しいものがすぐに古くなる時代でいちいち翻訳版なんて待ってたら、他の国に完全に置いていかれるのは当たり前。
特にIT関連は、翻訳されてようやくその情報にアクセスできるようになった頃には古い情報になってしまってる。
(ようやくスーパーファミコン買って貰ったら回りはプレステ持ってた、みたいなレベルよ)

 

あと、インドに優秀なITエンジニアが多いのは、英語のアドバンテージもあると思う。

 

IT分野だけじゃなく、色々なメーカーでも翻訳を外部に委託するんじゃなくて、自社で英語できる人間を採用するようになってきてる。
自分たちが英語できれば、外部の翻訳サービス会社なんていらないもんね。

 

私は以前、化学系メーカーで海外営業してたんだけど、他の人が作った日本語の技術資料とか販促資料をよく英訳させられてたのね。
1年目なんてそれが仕事の大半って感じ(おかげで、専門用語はかなり身に付いたけど)。

 

で、メーカーが集まる展示会(東京ビッグサイトとかでやるヤツ)に出展してブースで「暇やなーーー」って立ってると翻訳サービス会社の営業マンが来るワケ。
「御社は海外展開されるようですが、翻訳サービスは利用されていますか?」

 

「ビジネス英語ができる方がいらっしゃっても、やはり専門用語などは正確に訳さないといけないですし、そういった際にお役に立てると思います」

 

とかね。

 

はっきり言って、自分の会社の製品領域の専門用語や業界用語なんて社員が一番知ってる。
自分の業界で使う英語の翻訳で負けるワケねーだろって思いつつ丁重にお断りしてた。

 

まあ、海外での特許出願とかなると話は変わるけど。
そういった場合はそもそも海外拠点の担当が専門の弁護士とやるからね。

 

そんな状況なので、翻訳産業ってのは絶滅の危機。
もう「翻訳」でお金を稼ぐのは難しくなってきてる。

 

さっきの「天使にラブソングを」みたいな秀逸な邦訳が減ったのは寂しいけど、日本が生き残ってく為には捨てないといけない文化だと思う。

 

- 英語の教育に力を入れて、国民の英語リテラシーを高め言語の壁を取っ払う事で海外の先端情報へのアクセスを確保する
- 海外の情報を自国の言語に翻訳して皆がアクセスできるようにする

 

日本は今になって必死に後者から前者へ舵を切り替えてる。

 

ちなみに、私は学生の事に通訳検定ってのを取ったんだけどさ、運営元だった「日本通訳協会」が閉鎖されたんだよね。
当時は「マジすか!」って感じだったけど、しょうがないんだよね。

 

通訳者も翻訳家も昔ほど必要ないんだから。
女子アナだって、海外セレブのインタビューくらい自分でやってるしね。

 

これからは、海外の情報をいち早く察知しないといけない。
そして翻訳された情報は減っていく。

 

 

 

 

コトバの壁の崩壊

 

barries_collapse

 

 

日本の技術は、日本語に守られてきた。

 

日本では英語があまり通じない。
単一民族の独特な商習慣とか文化がある。

 

だから外国企業は日本市場になかなか進出できなかった。

 

Wendy’sとかバーガーキングとか日本に進出したけど、ダメだった企業は沢山ある。
バーキンは戻ってきたけどね。

 

つまり、日本語がある種の参入障壁として機能していたから日本企業は守られてた。
その環境で技術を独自に進化させてきたワケで、その最たる例が「ガラケー」だったりする。
だけど、ITや物流の発達が第二の黒船となり、状況は一変。

 

今となってはサムスンの携帯、LGのテレビ、IKEAの家具、、、etc。
どれも身近なものだよね。

 

つまり、日系企業は国内にいても外からの脅威にさらされるようになったという事。
日本っていうクソ小さい市場を取り合っても生き残れないから外に出るしかない。

 

大手はそれができてるけど、中小は簡単には外に出られない。
だから、転職市場では多少経験が浅かったり、業界が違っても英語ができればポテンシャルで採用する事も多い。
逆に、業界が同じでも、「海外市場強化」を目的とした採用であれば英語ができなければ不採用にする。

 

 

 

モノづくり神話の終焉

 

high spec death

 

日本の技術は凄い。
日本はモノづくりの国だ, oh yeah!

私も新卒の時の採用面接では「日本のモノ作りに貢献したい」なんて意味不明な事を「オレは海賊王になる!」くらいの勢いで言っていたけど。

 

日本はずっとそうやって発展してきたけど、通用しなくなってきてる。

 

 

いいものを作れば売れる。

 

そんな時代はとっくに終わった。
そこから脱却しきれていない中小メーカーは淘汰されてきてる。

 

誤解のないように言っておくと、私は「安かろう悪かろう」がいいと言ってる訳じゃない。
良いものを作るのは必要だし、日本企業の技術ってのはやっぱ凄い。

 

だけど、この「製品志向」ってのは確実に過去の遺産になってる。

 

 

「イイもの」の定義がそもそも変わってきてる。

 

 

昔は「イイもの」ってのは「高品質・高性能」を意味してたワケだけど、世の中のニーズが
めちゃくちゃ多種多様になってきたから、「高品質・高性能」ってのは色々なニーズの中の一つにしか過ぎなくなってるという事。

 

例えば、シチズンの時計。

 

「年間の秒針のズレが±5秒以内」っていうメチャクチャ高性能なモデルもある。

 

ここまでの性能って別に日常生活ではいらないよね。

 

年間で3分ズレて困る?

 

困らないよね。
多少ズレても、デザイン性の高い海外ブランドを愛用する人が多い。

 

そのオーバースペックな性能追求に日本人としての誇りとロマンを持つファンは一定数いるんだろうけど、
それは市場の中の一部。

 

iphoneと日本メーカーのスマホって、性能だけ見たらそんなに違いはない。
なのに、iphoneばっかり売れる。

 

つまり、「性能・品質が高いもの」を作るだけでは売れなくて、そこに高い付加価値(ブランドとかステータス)、高品質なサービスが組み合わさって始めて売れる時代になっているという事。

 

先の「コトバの壁の崩壊」とあいまって、今の日本企業はこれを海外でやらないといけない。
メーカーであれば、高い水準の技術や品質管理を海外拠点でも維持しつつ、現地の市場にあったマーケをしないといけない。
サービス業であれば、日本の誇る「おもてなし」を海外店舗でも展開しつつファンを作らないといけない。

 

これをやろうと思ったら、英語がないと話にならない。
現地スタッフの教育、現地と日本本社間のやり取り。
英語がないとどうにもならない。

 

 

EXCEL・Wordのスキルみたいなもん

 

must skills

 

 

今の時代、エクセルとかワードのスキルって特別でも何でもないよね。
できて当たり前。

 

そりゃ、皆がみんなピポットを使いこなせるかは微妙だけど、簡単な資料作成なら誰でもできる。
たまに求人票で「応募条件:基本的なPC操作ができる方(ワード・エクセル等)」とか書いてあるけど、できない人の方がマイノリティになりつつある。

 

でも、一昔前は違った。

 

ワープロがなくなってPCが普及しはじめて、当時のサラリーマン達は「ヤバい」と思って必死に使い方を覚えた。去年定年退職した義父さんも、「やーー、焦ったよ、あの時。みんなで必死に使い方を覚えたもん」ってよく言ってる。

 

ビジネス英語ってのは、これに近い。

 

今はまだ英語ができるのがアドバンテージになる会社もある。
だけど、5年も経てば、ビジネス英語は「歓迎要件」から完全に姿を消して「必須要件」になる。
今の時代の変化の速度なら5年もいらないかもね。

 

「読み・書き・そろばん」ってのが一昔前のサラリーマンのMUSTだったけど、大前研一曰く今は「英語・IT・会計」って感じらしい。

 

 

まあ、逆をいえば、新卒の頃の私みたいな「英文科卒な英語バカ」はいらないくなっていくワケだけど。

 

 

「英語が使えるか?」

 

ではなくて、

 

「英語を使いながら何ができるか?」

 

 

が問題だからね。
英語しかできないってのは、「Wordできる」ってくらい当たり前になる時代はもう目の前。

 

 

やっぱりどう考えても英語は必要

 

afterfocus_1421479268103

 

 

ここまで読んで頂いたアナタは、どう考えても英語は必要という事が分かったと思う。

 

日本企業は海外にどんどん出て行ってる。
そこで英語ができないと、仕事がなくなってくる。
逆に海外に進出してないから、英語はいらん、という企業は厳しくなっていく。

 

国境のボーダレス化がこのまま進めば、タクシーの運転手だって、歯医者さんだって、看護師だって英語は必要になっていくかもね。
外国人のお客さんや患者の割合が増えて行く訳だから。

 

“Please raise your right hand if you feel pain, are you ready?”
(痛かったら右手あげて下さいねー、いきますよー)

 

“◯X△#$’%&!!! Uh—Uhhhhh–!!!”

 

“Be patient ! it’s finishing ! ”
(はい、我慢してー、もう終わるからねー!)

 

みたいな感じで。

 

上の画像の本は最近読み返した本なんだけど、時代の変化と英語の必要性についてとても的を得てる。
私はこういう「英語学習の為の学習本」とか「英語の勉強法」について書いた本はあまり好きじゃないんだけど(それを読んだところで英語力が上がるワケじゃないから)、これは腑に落ちる部分が多かった。

 

これから英語を始めようと思っているサラリーマンは一読をオススメしたい。
楽天がガチで英語公用語化を押し進めた背景を知ると、「あ、俺もヤベーな」って事が肌をもって分かると思う。それに、英語が苦手だった社員や役員達の英語学習との格闘や学習方法の紹介は、大きな励みとヒントになる。

 

まあ、、、

 

“ENGLISHNIZATION”って造語とか「センスねーな」って感じだけど。
でも日本に星の数ほどいる英語を話せない英語教師はクビにするべきだってのはホント共感。

 

なんか、この活動で楽天の社内には英語学習のリアルなノウハウが溜め込まれたワケだから、それを使ってサービスにしたら面白いのに。
企業向け英語化活動コンサルタントとか。

 

あと、

 

楽天英会話

 

みたいな。

 

行かないけど。

 

 

 

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次