年末、札幌に規制した際にDr.Martens(ドクターマーチン)の靴14613ホールを購入(上の写真)しました。
高校生の時に8ホールのブーツを履いてたけど、それ以来だから20年弱依頼のリピートです。そもそも、スニーカーがボロボロになったので買い替えるために靴を見に行ったんですけど、フラッと入ったDMの店で衝動買いしてしまいました。。。
でも、ちゃんと調べて改めて知ったんですけど、日本っていうかアジアでDMってめっちゃ流行ってて店舗数も多いんですってね。そんなアジアでのブームに対して英国のガーディアン紙が面白い記事を出していたので紹介します。
Dr Martens gets big in Japan (and bigger worldwide to boot)
※対訳は後の方に記載します!
日本での流行り具合って?
実は札幌だけでも2店舗あるんですよね。DMの店。
札幌駅と大通駅。
一つの地方都市に2店舗出すってかなり流行ってるはず。その証拠に、私は最初札幌駅の店舗行ったんですけど、サイズが売り切れてるモデル多かったです。ちなみにUK6で男性だとありふれたサイズ(普通のスニーカーで27cmくらい)なせいもありますけど。
昔はABCマートにちょっと置いてあるくらいの存在だったんですけどね。
なんと日本に52店舗!
都道府県より多い。
インスタでは「#ドクターマーチン」で14万件の投稿。
流行ってますね~。
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すぐ紐が緩んでくるので通し方を変えてみたらしっくりきた❗ #ドクターマーチン3ホール#ドクターマーチン#drmartens #drmartens1461 #drmartensstyle
そういえば、札幌って結構アジアからの観光客が多くて、街歩いてる人の3人に一人は外国人なんじゃないの?くらいの勢いでしたけど、結構マーチン履いてる外国人の女の子多かったです。
外見もなんか可愛いし、履き心地も実はかなりイイんですよね。マーチンって。
ゴツゴツして見えるんですけど、ソールの中に空気の層をいくつも作ってクッション性がかなり高いんですよね。NIKEのAIRみたいな。
後は履いてるうちになじんできて愛着が湧くのもいいところ。
ガーディアン紙記事の訳文(補足付き)
Global sales of fabled DM boots leap 25% to 6m pairs courtesy of new craze in east Asia and rising popularity of new DM’s Lite
かのドクターマーチンのブーツの世界での売り上げは、25%も上昇し600万足に到達。東アジアでのブームと、DM’s Lite(※ソールを軽量化した新シリーズ)が人気を博している事が原動となっている。
Demand for Dr Martens boots is booming, helped by a craze in Asia and new, lighter versions of the traditional yellow-stitched boots.
DMのブーツの需要は、アジア圏での流行と、伝統的なイエローステッチ(※)ブーツの軽量化版の登場によって上昇している。
※ドクターマーチンはソールを縫い合わせる部分の黄色いステッチがアイコン(代名詞)とされている
The company, which is now owned by private equity firm Permira, opened 18 stores last year, including two in Japan and one at Camden Stables in north London. It plans to open a further 20 to 25 shops this year in Japan, continental Europe, the UK and the US.
Permira(※)に所有されるDMは、昨年18店舗をオープン、そのうち2店舗が日本、1店舗がCamden Stables(ロンドン北部)であった。今年さらに20~25の店舗を日本、欧州大陸、UKとUSAにオープンする計画だ。
※投資会社の名前。2013年にDMを買収した。
Dr Martens said revenue rose by a quarter to £291m in the year to 31 March. The firm sells about 6m pairs of shoes a year, most of which are manufactured outside of the UK, although 60,000 are still made at its original factory in Northamptonshire.
DMによれば、2017年3月通期の収益は2億9100万ポンド(約420億円)となり、売上数は600万足に達した。そのうちの大半はUK国外で製造されたものとなるが、6万足については今も英国・ノーザンプトンシャーの最初の工場で製造されている。
Photo is sourced from :https://www.highsnobiety.com/2016/07/22/dr-martens-factory-tour-cobbs-lane/
Last year the company also sold 200,000 pairs of its new DM’s Lite , a range modelled on lighter “athleisure” soles but which resemble the traditional Doc welted black or oxblood boots with yellow stitching. The firm has also introduced new colours and patterns such as floral prints.
昨年、DMは20万足のDM’s Liteを販売した。より軽いアスリージャー(※)ソールを搭載しながらも従来の黒や赤茶(※)イエローステッチブーツに見た目は似ているモデルだ。
※アスリージャーとはアスレチックとレジャーを組み合わせたファッション造語。簡単にいうとスポーティーなテイスト。そういうソール(靴底)なので、ここではスニーカーっぽい靴底、的な意味。
※DMは基本色が黒と赤。赤は日本ではOxbloodではなくチェリーレッドと呼ばれている
DM’s Liteの画像。従来モデルの茶色っぽいラバーソールが軽量化された黒いソール(スニーカーっぽい)になっている。
Jon Mortimore, the chief financial officer, said DM’s Lite appealed to “customers who wore Dr Martens when they were a kid or teenager, but they are also appealing a lot to younger consumers who’ve been brought up on lighter trainers or shoes”.
DMのCFOであるJon Mortimore氏は「DM’s Liteは幼少期や10代の頃ドクターマーチンを履いていた世代だけでなく、もっと若い世代で、軽量化されたトレーナー(スポーツシューズ)や靴で育った世代も魅了している」と語る。
Dr Martens is expanding particularly in Japan and South Korea. He added: “Japan is going very well for us. Tokyo can be seen as a global fashion hub.”
DMはとりわけ日本と韓国でそのシェアを広げている。Mortimore氏は続ける。「日本での成長は私たちにとって非常に素晴らしいことだ。東京は世界的なファッションの中心と見なされるからね」
Dr Martens eight-hole Airwair boots were launched in 1960 and soon became popular with skinheads, goths and punks. Another early adopter was Pete Townshend, guitarist and songwriter for the Who.
DMの8ホール(※)は1960年に登場してすぐに、スキンヘッドやゴス系やパンク系の若者に人気となった。又、早い時期からDMをファッションに取り入れた人物として有名なのがthe Whoのギタリスト、Pete Townshendだ。
※8ホールは靴紐を通す穴の数。最もポピュラーなブーツタイプ。AirwairとはDMの靴底の構造で、空気の層によってクッション性を出している。
The boots had a revival recently, helped by endorsement from celebrities such as Miley Cyrus, Ellie Goulding, Gwen Stefani, Pharrell Williams and David Beckham.
DMのブーツは最近、名だたるセレブリティの支持もあり復活を遂げた。マイリーサイラス、エリーゴールディング、グウェン・ステファニー、ファレル・ウィリアムズ、デイビッド・ベッカムなどだ。
Mortimore said Permira, which bought the business in 2013, was turning it from a family-run company into a global brand, and moving away from wholesale towards retail – opening more of its own shops and selling online.
Mortimore氏は、ペルミナ社は2013年のドクターマーチン買収後、同社を一族経営の企業からグローバルブランドへと変革させ、小売りへの卸売りの業態を離れ、自前の店舗とオンラインショップでの展開へと軸足を移した、と語る。
Dr Martens is looking for a new CEO after Steve Murray stepped down this month after three years in the job. The chairman and former boss of Asda and Matalan, Paul Mason, will run the business in the interim.
DM社は、Steve Murray氏が3年の任期を経てCEOの職を辞したのちの後継者を探している。AsdaやMatalanの会長、Paul Mason氏が当面引き継ぐこととなっている。
The company, founded by the Griggs family in Wollaston, Northamptonshire, has been making work boots since 1901. It licensed the Dr Martens boot from Munich-based Dr Klaus Maertens, a young soldier who developed the air-cushioned sole while convalescing from a broken foot.
DM社はGriggs家によって、ノーザンプトンシャーのウォラストンで設立され、1901年からワークブーツを製造してきた。DMのブーツはミュンヘンの軍医であったクラウス氏の考案したエアクッションソールを採用している。
Dr Martens said retail revenues were up 38% to £78.9m while online income jumped 54% to £32.4m. Earnings before interest, tax, depreciation and amortisation grew 27% to £37.5m.
DM社によると、小売りでの収益は38%増の7,890万ポンド(約100億円)、オンラインストアでは54%増の3,240万ポンド(約45億円)、税金、減価償却計上前利益で27%増の3,750万ポンド(約52億円)の収益となった。
So, Dr Martens boots, long associated with punk, the working class and an overall sense of outsider rebellion, have become so mainstream that global sales are up 25%.
DMのブーツは長きに渡り、イギリスのパンク、労働階級、そしてアウトサイダーの反抗と紐づけられてきたが、今や世界で25%の売上増を実現するグローバルブランドとなった。
In reality the thick-soled, sturdy leather upper boots have rarely been out of fashion. In 2012, Marc Jacobs put his models in heavy DM-style military boots. In 2015, Alexander McQueen paired his heavy soled boots with military pieces. Calvin Klein and Coach have rolled out similar versions, while Perry Ellis put Helena Christensen in real DMs, paired with a dress, on the catwalk in the 90s.
厚底で、頑丈なレザーアッパーのブーツというのは、ほとんど流行から消える事がなかった。2012年、マークジェイコブスが、DMスタイルのミリタリーブーツを、2015年にはアレクサンダー・マックィーンが重厚なソールのブーツをコレクションにフィーチャーしている。カルバンクラインやコーチも似たようなモデルを出しているし、ペリーエリスは90年代にヘレナ・クリステンセン(モデル)にドクターマーチンを履かせドレスを着せ、ランウェイを歩かせた。
Their popularity is linked to who is wearing them. Just this week, Kourtney Kardashian was in a pair of eight hole boots. The other week, it was Gigi Hadid. And this is part of their appeal. Dr Marten’s are the de facto sartorial passport to subculture – wear them, and you automatically look cooler than you are.
DMの人気は「だれが身に着けるのか」とも深く関係する。ちょうど今週、コートニーカーダシアンが8ホールブーツを履いていたし、違う週にはジジハディッドが同じく履いていた。これはDMの魅力の一部に過ぎない。ドクターマーチンはサブカル・ファッションへの最も認知されたパスポートなのだ - 身に着ければ、アナタは自動的にアナタ本来よりクールに映る。
They are a universally democratic piece of wardrobe kit. Rich people wear them with skirts just as punks wear them for life. In the past 50 years they have been part of a postie’s uniform, worn by Neo-Nazis and now by Instagram stars.
DMは最も民主的なファッションアイテムだ。裕福な人はDMをスカートに合わせて履くし、パンクスはDMを一生履く。過去50年間、DMはポストマンのユニフォームであったし、ネオナチが履いていたし、今はインスタグラムのスターが履いている。
Though the sales figure is impressive, it’s not entirely a result of fashion. Dr Martens are built to last so if you buy one pair, you’re unlikely to buy another. It is the recently launched DM Lites that are the most tangible reason for their current success. Traditional Dr Martens require a lengthy break-in period whereas the soft-leather Lite versions are comfortable the moment they come out of the box. Still, combined with a sudden uptake in Asia and, well, the ongoing, all-powerful Hadid-effect, it’s likely Dr Martens will be in fashion for years to come.
売上数字は印象的だが、それは単にファッション性だけによって成されたものではない。DMのブーツは長持ちするように作られている。一つ購入すれば、もう一つを買う事はしないだろう。昨今の成功の最も具体的な要因はむしろDM’s Liteの発売であろう。伝統的なDMブーツは長い期間履かないと革が馴染まなかったが、Liteは箱から取り出した瞬間から心地よくしなやかな革である。又、もちろん、アジアでの急激な人気上昇や、ハディド効果もあいまって、の事である。ドクターマーチンのはこの先何年もファッション界に君臨し続けるであろう。
大衆の靴であり、反骨の象徴。
こうやって、改めてDr.Martensについて調べてみると、今も昔もずっと大衆の靴であって、カウンターカルチャーの象徴だった。なので、パンクロックとの親和性も歴史的な必然だったんだろうと思ってみたり。
きっとイギリスの人には日本人にはピンとこない精神的な結びつきみたいなものがあるのかも知れないですね。日本では、なんかこういう社会的なイデオロギーとかカルチャーを背負っているド定番なものって、、、あるんですかね。思いつかないですけど。
グローバルブランド化は「成功」なのか?そしてイングランド製モデルはすごくカッコいいけど、高い。。。
最後に。
先ほどの記事に書いてある通り、現在ドクターマーチンの靴はイギリスの外でほとんど製造されています。確か東南アジアだったはずです。
大体2万2000円くらいが相場なんですが、Dr.Martensの店舗にいくとMade in Englandモデルってのがあるんですよ。
これが、4万円弱とほぼ2倍。
なんですけど、すげーカッコいい。
今回私は黒にしたので、あまり違いは感じなかったんですが、チェリーレッドの方はMade in Englandモデルの色合いが凄く綺麗なんですよ。もし今度、赤の方を買う機会があれば絶対こっちにしたいです。
これらがMade in Englandモデルです。
比べると、東南アジアで製造されたやつは、黒みがかった赤って感じですかね。
さて、そんな本国イギリスですが、今回ガーディアンの記事に寄せられた投稿にはマーチンのグローバル化に対して眉を顰める意見も。
“Typical example of how a decent British product got ruined by being turned into a low-cost, high-priced, Chinese-made ‘fashion’ accessory for urban hipsters to wear to Starbucks!”
「丁寧に作られていたイギリスの製品が、セレブがスターバックスに履いてくためだけの低コスト高価格の中国製の”アクセサリー”に成り下がった典型的な例だ!」
まあ、中国製になったワケではないですけどね。
ただ投稿の趣旨は根深いものがあるというか。
Dr.Martensという企業の立場からすれば、日本で売れて、韓国で売れて、アメリカではセレブが身に着けてくれてさらにブームが加速して、っていう今の状況は喜ばしいものでしょうし、東南アジアで低コストでガンガン作って利益を拡大しているんでしょう。
これは経営的な側面からいえば「成功」と言えます。
ですが、これをブランドとして見た場合、果たしてどうかというコトです。
多分、日本人にしろ、韓国人にしろ、アメリカ人にしろ、イギリスの外にいる側からすると、DMはただのオシャレな靴でしかないけれど、イギリス人にとっては、歴史的、精神的に特別なブランドなのかも知れません。
又、そこには「クラフトマンシップ」が裏付けとしてあって、それが価値を形成していると捉えているはずです。
なので、東南アジアの工場で機械的に大量生産されてしまうと、そういった情緒的価値が捨てられてしまったように感じるのかも知れませんね。
日本人の我々の場合、例えば、匠がつくるような工芸品(陶器とか漆器とか、織物とか)の海外ウケがいいからって東南アジアで作るってなると、気持ち的には「え、、、、」ってなる部分あると思うんですよね。
今回、DM社はそういうイギリス人の中に歴史的に培われてきた国民的に認知されている価値よりもグローバルでの成功(売上拡大)を優先したワケですが、ファッションはファッションでしかないので、この流行もいつまでも続くワケではないと思います。再度低迷したとき、どうなるんでしょうか。
今回のかじ取りが目先の利益を追ったばかりにブランドが壊れて、結果として、短命になってしまう、、、みたいなシナリオは避けて欲しいなとファンとしては思うところです。
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