TOEIC学習のための単語帳として「キクタン」を検討している人も多いハズ。
単語学習にキクタン在りー。
そう言っても過言では無いほど有名なアルクの大ヒット単語帳シリーズ。
キクタンベーシック
キクタン英会話
キクタン英検
キクタンTOEIC
キクタンBRITISH
キクタン医学部受験
・
・
・
etc
と英語シリーズだけで数知れず。
その上、
中国語
韓国語
スペイン語
イタリア語
・
・
・
etc
と諸外国語。
さらには
キクタンサイエンス
キクタンメディカル
など外国語以外のものも。
もはや英語学習に留まらず、キクタンと名のつく単語帳は増殖を続けています。その数、70種類。
とりあえずプラズマクラスターって付けて色々と売りまくるシャープのごとし。
そんな単語帳界の華麗なる一族「キクタン・ファミリー」ですが、
TOEIC学習に効果はあるのか?
他の単語帳と比べて優れているのか?
そんな疑問を持っている人は購入前に是非、御一読を。
まず始めに言っておきますが、「キクタン」というシリーズは極めてクセが強く、人によって「合う・合わない」が大きく別れます。
有名というだけで手をだすのは危険ですから、後述する内容を一通り読んで頂いて購入の判断材料にして下さい。
1.コーパスにより頻出単語を抽出している
コーパス、、、、円を書く針のついた、、、?
それはコンパス。
すみません、、、。
コーパスというのは、単純に言うと「あるジャンルに絞って言語データを集めること」と言えます。
単語帳を作るにあたっては、その蓄積したデータの中から使用頻度が高いものを抽出してリストにします。
つまり、その蓄積してきたデータ量と抽出ノウハウがモノを言う訳ですが、キクタンの出版社であるアルクははっきりいって他の出版社とはレベルが違う。そのノウハウは英語だけじゃなくて中国でもドイツ語でも使えるし、医学用語にだって使えるからキクタンはあれだけの増殖が可能だった訳です。
要するに
コーパスはアルクのお家芸。
よく、TOEICの単語帳で的外れな単語を収録しているものがありますが、それははっきり言って分析するデータの量が足りないか、語彙の抽出精度が低過ぎるから。
アルクのコーパスに対抗しうるのは「自分自身でTOEICを何回も受けてTOEICを知り尽くしている講師達の経験」くらいなもの。
その辺の出版社では真似できない。
(ただし、英検に限っていえば私は旺文社の方が上だと思う)
ここまで読むと、「アルクって凄いじゃん!キクタン最高っしょ!」と思われるかも知れません。
でも、そうとも言い切れないんです。
何故か。
キクタンを買おうか迷ってamazonのレビューなどを見た人や、過去に実際に英検や受験でキクタンを使った事がある人はご存知と思いますが、キクタンはよく「目標に対して収録語彙のレベルが低い」と言われます。私自身も受験や英検で使った経験からそう感じます。
何故こんな事が起こるかというと、先ほどのコーパスが影響しているんじゃないかと思います。
どういう事かというと、コーパスというのは「よく使われる単語・フレーズ」を重要視する手法です。
つまり、「難しいかどうか」ではなくて「よく使われるかどうか」が判断基準なんですね。
でも、ちょっと考えてみて下さい。
語学学習では普通、誰しも「よく使われる単語」から学習します。
つまり、「よく使われる単語」ほど「基本単語」とされる訳です。
なので、コーパスの結果、頻出度を基準としている為にどうしても簡単な単語を多く抽出する方向に引ずられる。
アルクのさじ加減もあるのでしょうが、結局、機械的に抽出しているので「実際に学習者が肌で感じる単語の難易度」とキクタンの収録語彙の難易度にズレが生じるんですね。
TOEIC用のキクタンは目標スコア別に500,600,800,990とありますが、タイトルを鵜呑みにせず1つレベルの高いものも視野にいれる事をオススメします。恐らく、700点台の人がキクタンTOEIC Test Score 800を購入しても知ってる単語ばっかり、という事になっても不思議はありません。
私の超個人的な印象では以下の感じでいいと思います。
現在のスコアが500点未満の方 → キクタンTOEIC Test Score 600
現在のスコアが600点代の方 → キクタンTOEIC Test Score 800
現在のスコアが700点代の方 → キクタンTOEIC Test Score 990
よっぽど英語にアレルギーがある方は「キクタン TOEIC Test Score 500」からでもいいと思いますが、少なくとも大学受験で英語を勉強した
人には不要な代物です。もし現在のTOEICスコアが300点未満なら購入を検討してもいいかも知れません。
2. チャンツを売りにしている
チャンツ、、、韓流スターか何か、、、?
イ・チャンツ・イムニダ。
違います。
チャンツというのはキクタンで使われている学習方法で、曲のリズムにのせて単語とその意味を読み上げていくもの。
言葉では分かりにくいと思うで、コチラのアルクのサイトで「チャンツを聞く」から再生してみて下さい。
音声の読み上げの時、BGMが流れていますよね。
このようにBGMのリズムに合わせて単語と意味を流す事で記憶への定着に繋がるとされていて、幼児英語教育でも使われている手法です。
このチャンツが好きでキクタンを愛用している人もいれば、逆にこれが嫌だという人もいます。
私はあってもなくても気にならないのですが。
ところで、単語帳には大きく2種類あります。
1つはキクタンに代表される「チャンツ型」で、例文音声を重視せずに単語とその意味だけをメインにサクサクとリズムに載せて学習していくタイプ。
もう一つはDUOなどに代表されるような「例文重視型」で、例文の中で単語を覚えていくタイプです。
どちらにも当てはまらない、つまり「チャンツもなければ例文音声もない」みたいなものはゴミ。
これらには一長一短があり、さらには人によって「合う・合わない」が非常に別れます。
あなたにはどちらが合っているでしょうか。
チャンツ型(代表例:キクタン)
長所:
・単語と意味だけをサクサク読みすすめるので単語帳を1周するまでの時間がとても早い
・通勤中などはテキストを見なくてもCDを聞いていれば「単語と意味」を読み上げてくれるので時間の合間をぬって学習できる
短所:
・例文音声が付属しておらず有料である事が多い。
そもそも例文を重視しておらず「オマケ」のようなものと考えているので、例文の音声を聞きながら文章の中で単語を覚えたいタイプの人には相性が悪い。
例文って長いのでチャンツのリズムに乗れないんですよ。
なのでキクタンは必然的に例文は「一応のせとくね」レベルな訳です。
よく「キクタンは例文音声が有料はいただけない」みたいなamazonのレビューがありますが、それはキクタンがそういうコンセプトによって作られていないから当然っちゃ当然なんです。
・単語と意味だけを聞いていると、単語が文章の中でどのように使用されているかが分からないまま意味だけ覚えてしまう
さらに、サクサクと聞き流していくので「なんとなくこんな意味」で済ませてしまいがち。
dieとdeadはどちらも「死ぬ」で済ませてしまう。
ですが、dieは動詞でdeadは形容詞ですから全然違います。
perspectiveは形容詞、、、ではなくて名詞です。形容詞みたいなルックスしてますが。
こういった品詞をきちんと把握する事や、「自動詞なのか他動詞なのか」という事はチャンツを聞き流しているだけですと、どうしてもおろそかになります。
つまり、文法・語法の部分(TOEICのパート5など)は弱くなってしまう。
例文重視型(代表例:DUO)
長所:
文章の中で単語を覚えていくので「実際にどんな感じでこの単語が使われるのか」といった事もきちんと抑えられる。
また文章を何度も音読する事で、単語を単発的に覚えるよりも記憶への定着が深い。
短所:
1周するのに時間がかかる。
ちゃんとやれば1周1ヶ月はかかるので、最初に戻ると忘れてるなんて事はよくあります。
ただ、3周、5周と繰り返せばしっかりとした単語力の基礎が打ち立てられます。
私は個人的に「例文重視型」が好き。
キクタンは以前に使って、全然頭に入って来なくて投げ出した経験があるので。
一方で、キクタンが好きな人は私と逆でサクサク進まない単語帳は途中で投げ出してしまうと思います。
まとめ
キクタンシリーズは通勤時間などに音声だけ聞いてサクサク覚えたい人には学習効率の点で非常に有効です。
単語と意味を音声で言ってくれるのでテキスト開く必要もない。
しかし、例文を使いたい人にとってはあまり役に立ちませんので他の単語帳を検討しましょう。
とくにキクタンTOEICシリーズはキクタンの熱狂的なファン(=使い慣れている人)を除けば、Score600以外は使いにくいかも知れません。
初めてTOEICを受ける英語初級者の方にとってはScore600は選定単語のバランスが非常にいいので、チャンツに抵抗がなく例文にこだわらないならば、最初の1冊の候補に入ってくると思います。
購入対象者:TOEIC〜500点
収録単語:1,120語
ターゲットスコア:600点
オススメ度:★★★☆☆(チャンツ型に抵抗ない人に限る)
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