30代からの独学英文法 「仮定法」という悪魔

仮定法というのは本当にやっかい。
多くの学習者をつまづかせる悪魔。

 

 

一昔前に、”I wish I were a bird ! もし私が鳥だったら〜”というキャッチフレーズの英会話学校のCMが耳に残っている方もいるのでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

いやいやいや、、、英語教師が英会話学校通ってるってどうなの、、、と思いつつ当時見ていた記憶があります。

 

 

 

とりあえず、この先生、めっちゃいい声ですけどね。

 

 

で、仮定法なワケですが。

 

 

仮定法が嫌いな人はすっごく多い。
私も「have? had? would have?っていうーか紛らわしいだろっっ!!!」とか思ったものです。

 

 

 

「仮定法」と聞くと、悪寒がするという方も多いのではないでしょうか?

 

 

 

でも、違う視点から学ぶと仮定法って意外とね、、、、アレなんですよ。

 

 

 

そんなに難しくもないし、実は親しみやすい奴なんですよ。

 

 

 

仮定法って不思議なもんで、TOEICみたいな「試験」を意識するとすっっごく難しいんですね。
「have? ….ん?….had??… had been…?」って感じに混乱するから。

 

 

 

私達は試験でしか仮定法に出会った事がないから、仮定法と聞くと「小難しくて面倒くさい」と思ってしまいます。

 

 

 

でも、実際のコミュニケーションで使われる仮定法の姿は私達が試験や問題集で見るソレとは全く違います。
実はその姿にこそ仮定法の本質があるのですが、私達は学校でそれをきちんと教わらない。

 

 

 

学校では公式しか教えてくれないので、とても難しく見えるのですが、「実際の会話やメールで使われて どう使われているか」という視点から学習するとかなりスッキリ理解できてきます。

 

 

 

 

目次

1. イフイフ詐欺

 

 

まず、多くの人が仮定法で脱落した原因は

 

 

英語教師があなたに仮定法を数式のように「丸暗記」させたから。

 

mathmatics

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば

 

 

仮定法過去   : If S (主語) 過去形,  S(主語) would 原形


仮定法過去完了 : If    S(主語)had 過去分詞, S would have 過去分詞

 

 

理屈も何もなく、ただただ因数分解の公式を覚えるように丸暗記。
その結果、、、

 

「仮定法では絶対に頭にIfがつく!」

 

「とりあえず過去形になる!」

 

「仮定法ではI was じゃなくて I were !」

 

 

 

のように、枝葉だけの知識となり、実践ではまるで使い物にならない。

 

 

ホント、「ifがつかない文章は仮定法とは呼べない」くらいに思ってましたからね。私も。
だって英語の先生が「まずifを見つけたら仮定法を疑いなさい!ifが大事です!ifときたら仮定法!」とか言ってたんですもん。

 

 

で、期末テストでifが出てきたから「これは仮定法だ!」と思って回答したら、「これは『〜かどうか』を表すifなので不正解!」

 

 

みたいな。

 

 

 

もう、詐欺ですわ。

 

 

 

イフイフ詐欺ですわ。

 

 

残念ながら公式をいくら覚えても仮定法は理解できない。
公式通りの形で使われる事は意外と少なく、むしろ仮定法の大部分は私達が教わる公式のような姿はしていないのです。

 

 

公式は一旦、置いておきましょう。

 

 

 

ありえる?ありえない?

 

possible_impossible

 

 

 

 

 

 

 

 

仮定法は「過去形にする」と覚えたと思います。

 

“I wish I am a bird” ではなく” I wish I were a bird” である、と。

 

 

ただし、「もし〜だったら」という文章だからといって何でもかんでも過去形にすればいいワケではありません。

 

 

仮定法の最も基本的な概念は

 

 

ありえそうだ、と思っている時 → 現在形で仮定する

ありえない、と思っている時 → 過去形で仮定する

 

 

という事です。

 

 

例えば、”If I were a bird” というのは仮定法だから過去形なのではなくて「人間が鳥になることなんてありえない」から過去形なだけ。

 

 

基本的には話し手が「ありえるかも」と思ってれば現在形を使うし、「ありえない」と思っていれば過去形を使うだけです。

 

 

 

例えば、

 

 

 

If can get tickets of the concert, I will be able to ask Jenny out.

もしそのコンサートのチケットが手に入ればジェニーをデートに誘えるんだよね

 

If I could get tickets of the concert, I would be able to ask Jenny out.

もしそのコンサートのチケットが手に入ればジェニーをデートに誘えるんだけどな

 

 

この2つは、別にどちらか一方が文法的に間違っているとか、仮定法として間違っているという事ではありません。
話し手の意識次第でどちらも正解になります。

 

 

もし、そのコンサートのチケットは凄く人気で「まあ、まず無理だろう」と思っていれば過去形になるし、「まあ、買おうと思えば買えるだろう」と思っていれば現在形になる。

 

 

 

仕事の場面を考えてみましょう。

 

 

客先から「今日中に見積書が欲しい」と言われたとします。
しかし、あなたは最終的に上司の承認がないと発行できない。

 

そんな時、

 

“If the process of approval is finished quickly, I will be able to send it to you within today.”

「もし、承認プロセスがすぐに終われば、今日中に送付できます」

 

であれば、「承認プロセスがすぐになされる可能性はある」とあなたが思っているという事になりますから、相手はまだ希望が持てます。
「どうにかお願い!」となるでしょう。

 

 

でも、

 

 

“If the process of approval was finished quickly, I would be able to send it to you within today.”

 

 

となると、例えば上司が出張中などの理由であなたが「まあ、今日中に承認が終わることはないと思うけど」というニュアンスを込めているように聞こえます。

 

 

なので、文法テキストでの違いはあまりないように見えても実際の会話では仮定法の使い分けというのはとっても大切なのです。

 

 

 

 

実はソレ、仮定法です

 

 

 

学校で習ったと思います。

 

 

 

“would like to〜”で「〜したい」という意味で、これは”want”より丁寧な言い方

 

 

と。

 

 

 

コレ、実は仮定法の一種です。

 

 

 

ちょっと違和感があるかも知れませんが、日本語と英語の「ある違い」に着目するとスッキリ理解できます。

 

 

 

 

日本語は前、英語は後ろ

 

missing piece

 

 

 

 

 

 

仮定法といえば、「もし◯◯だったら、△△だろうに」となります。
この基本形は英語でも日本語でも変わりません。

 

 

ですが、私達の日常ではどうでしょうか?

 

 

例えば、人に何かをすすめる時、こう言ったりしませんか?

 

 

「もしよろしければ、、、」

 

 

あるいは、客先に対して

 

 

「もし、お時間頂けたら、と思いまして」

 

 

 

ここで思い出して欲しいのですが、仮定法の基本は

 

 

「もし◯◯だったら、△△だろうに」でした。

 

 

ここで、注目すべきは

 

 

日本語では「もし◯◯だったら」の部分だけでも機能するという事。

 

 

後半の「△△だろうに」はわざわざ言わなくても分かるからです。

 

 

 

「もしよろしければ、、、(お一ついかがですか?)」

 

 

「もしお時間いただけたら(お話させて頂きたい事があります)」

 

 

といった具合に、省略された部分は言われなくても分かる訳です。

 

 

つまり、

 

 

日本語は、前半の部分さえあれば仮定法として機能する、という事。

 

 

 

一方で英語はどうでしょうか。

 

 

例えば、こんな会話。

 

 

“Actually, I’m planning to give her a bag for her birthday.”
実は、彼女の誕生日にバッグを贈ろうと思っているんだ

 

“I believe it wouldn’t please her because she has bought a new one recently.”
彼女喜ばないと思うな。最近新しいの買ったばかりだし。

 

 

このwouldn’tには「(仮にバッグをあげたとしたら)喜ばないと思うな。」という意味合いがこめられています。
わざわざ”If you bought a bag for her”と言う必要がないからです。

 

ちょっと下世話ですが、例えば、、

 

“I’m not sure if I should break up with her…”
彼女と別れるべきか迷ってるんだ、、、

 

“I would move quickly to next one.”
俺なら、すぐ他へ行くわ。

 

これも、”If I were you”(もし俺がお前だったら)をわざわざ言う必要がありません。

 

 

 

「もし◯◯だったら、△△だろうに」

 

 

でいうと、「もし◯◯だったら」の方を省略する事が多い。

 

 

つまり、日本語とは逆で、後半だけでも仮定法だと分かるのです。

 

 

ネイティブの感覚では”would”が使われている時点で「仮定」の話である事はあきらかですから、わざわざ”If I were you”なんてことを言われなくても分かるのですが、私達日本人の仮定法は省略するのが逆ですから、willとwouldに大した違いを感じない事が多い。

 

 

 

で、先ほどの”would like to”に話を戻しましょう。

 

 

“I want you to give me a hand.”

“I would like you to give me a hand.”

 

 

両方とも意味としては「手を貸して欲しい」という意味ですが、“would like to” の方は「もし差し支えなければ、、」といった仮定法的なニュアンスがあります。

 

だからwantより丁寧だと言われるのです。

 

「〜してくれますか?」と聞く時に、

 

Can you 〜? よりも Could you 〜?
Will you〜?    よりも Would you〜?

 

の方が丁寧だと言われているのは同じ理由です。
もしあなたが聞く側の立場であって、「もしよろしければ」なんてニュアンスは必要なくて「頼めば当然やってくれること」を依頼する時は”Can you 〜”を使ってもいい。
逆に、ダメもとまではいかないにしろ、ちょっと無理なお願いだったりすれば”Could you〜?”と言えばいい。
まあ、相手に対する立場にもよりますけどね。

 

 

 

 

willとwouldは全然違ってくる

 

 

「ありえる」なら現在形、「ありえない」なら過去形、と言いました。
そして、英語では「もし◯◯だったら」の部分が省略される事が多いとも言いました。

 

この点を分かっていると、willとwouldがどれだけ違うのかが見えてきます。

 

 

例えば、海外のお客さんが急に「注文をキャンセルしたい」というメールを送ってきたとします。

 

“We need to cancel our order because we found a lot of stock in our warehouse. Please let us know if it is possible or not.”
倉庫に大量の在庫があったから注文をキャンセルさせて欲しい。可能かどうか連絡して下さい。

 

「在庫管理くらいちゃんとしろや」って話ですが、あなたの回答としては「絶対にNO」だったとします。
その時、

 

1. “I believe your request will be very difficult to accept.”

 

2. “I believe your request would be very difficult to accept.”

 

 

どちらが、いいでしょうか。

 

 

答えは2です。

 

 

1だと「あなたの要求は受け入れるのがとても難しいと思います(でもまぁ、可能かも知れないから検討はしてみます)」という感じ。

 

一方、

 

2だと「あなたの要求は受け入れるのがとても難しいと思います(ので、お断り致します)」という意味合いになります。

 

 

まず、wouldを使っている時点で仮定法なワケで、なおかつ過去形になっていますから、ここでこめられているニュアンスは
「チョwww マジ、キャンセルとかありえないしwww」という事になります。

 

 

willかwouldかでかなり違いますよね?

 

 

特に仕事でネイティブを相手にする時はwillかwouldかというのは非常に大切。
もし相手が仮定法を使っているなら、その真意を汲み取らないといけないし、こちらも使い分けを意識しないと意図しないニュアンスを与えてしまうから。

 

 

一方、自分でこの使い分けができるとかなり便利です。

 

 

仕事で何かを断るのはなるべく柔らかく伝えたいものです。
日本語でも「今回のご要望にお応えするのは非常に難しい状況でございます」みたいな遠回しな言い方をする時があるように、英語でも遠回しに断る事はできます。
さっきののwouldを使えばいいんです。

 

 

たまに英語になった途端、”No, it is impossible.”とか”No, we can’t accept any cancellation.”みたくド直球をぶっ込む人がいます。
私が前に働いていた会社にもいました。貿易事務の方で私の先輩だったのですが。

 

 

「納期を1週間早められますか?」という依頼に対して”No, it is impossible.”とだけ返してしまった時に香港の客先が激昂したのを覚えています。
相手は状況を説明し、「迷惑かけて申し訳ないけど」と断った上での依頼を送ってきたのに、彼女の返事はたったこの1行だけです。

 

 

とてつもなく失礼なメールです。
日本語で「いえ、絶対に無理でございます」と断る人がいるでしょうか?
たまに、「英語ではハッキリと意志を伝えた方がいい」と信じている人がいます。
「意志をハッキリ伝えること」と「言い方」は別問題ですので気をつけましょう。
これでは「モノをはっきり言える人」ではなくて「英文メールもまともに書けない人」です。

 

 

まず、言葉が足りませんね。
断るにも理由を述べるべきです。

 

さらに、impossibleはちょっとキツすぎます。
別に物理的に不可能なワケではないですからね。
せめて”very difficult”くらいにして、さらにwouldで強調する。

 

“It would be very difficult because 〜.”

 

これだけでも、だいぶ響きが丁寧になります。
それでいて、「お断りします」という意志はちゃんと伝わる。

 

 

 

 

まとめ

 

実際のコミュニケーションでの仮定法はテキストに出てくる様な“If…., 〇〇 would….”という形をしている事は意外と少ないだけに注意が必要です。
同時に、自分で使いこなせると色々なニュアンスを調整できてとても便利。

 

にも関わらず、なぜか僕ら日本人はこの部分について学校できちんと教えて貰えません。
代わりに表面的な公式だけを丸暗記させられる、、、。

 

 

「なんでかはよく分からないけど仮定法は過去形になる」
「なんでか知らないけどwould like toは丁寧らしい」

 

 

こんな感じで、理解がすっぽ抜けた枝葉の知識に終止してしまうので、実践ではきちんと使えないし、
下手をすると仮定法が使われている事にすら気付けない。

 

 

特に仕事のメールのように「言い回しに気を遣う」場面では仮定法はとても便利ですから積極的にマスターしていきましょう。

 

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