最近、本屋の語学コーナーに並んでいる本。
こないだ、電車の移動の暇つぶしに購入したんだけど、英語学習の進め方についてかなり的を突いた内容になっている。
私はあまり、この本のような「勉強の為の勉強本」は読まないんだけれど、著者の経歴が目を引いたのでつい買ってしまった。
著者である斉藤淳氏は上智の英語学科を卒業後にイェール大学大学院に留学、その後、イェールで助教授を務めている。
ここまで見ると、ただのエリート野郎なんだけど、この人、日本に戻って英語塾やってるんだよね。
ヤバいよね。普通、イェール大学で教鞭とってた人が日本に帰って英語塾なんてやるかっていう、、、笑
(ちなみに、私は上智の英語学科はね、落ちたよ。フフ。)
この本で紹介されてる英語学習のメソッドはもちろんその塾での実績に裏打ちされたものばかりだけど、現状の日本の英語学習の問題を的確に捉えていて、
本当に英語力を付ける為に必要なアプローチがしっかり確立されている。
特に社会人になってから英語学習を始める人は、大抵、学生の頃に英語を苦手としていたケースが多く、ネット上の色々な情報に振り回されながら行き当たりばったりで学習を進めてしまっている場合が多い。
情報があり過ぎて、どういう順番で進めていいのか、何がまず重要なのかが分からなくなっている。
そういった状況を回避して最短で結果を出すのに、この本は深いインサイトを与えてくれる。
今回は本書の中で特に私が共感を覚えた点や、気づきを与えてくれた部分について少し紹介したい。
読んでみると、中にはこのブログと重なる点も多くて、ちょっとビックリだった。
1. まず何よりも発音を学ぶべき
これはこのブログでも何回か触れているけど、日本の英語学習はとにかく発音の学習をおろそかにしがち。
あなたは、発音記号ってきちんと読めるかな?
恐らく、8割以上の人は読めないハズ。
私も、正直、英文科に入学して音声学の授業を受けるまでは読めなかった。
高校の時までは辞書を引いても、単語の意味を調べるだけで、発音記号なんて「単語の横にある変な文字」くらいにしか思ってなかった。
英文科や英語科を卒業した人を除けば、音声学を受講した人なんていないだろうから、殆どの人は発音についてしっかり学ぶ事なく大人になっていくって事になる。
ただ、発音って超大事。
なんか、日本では「発音なんて気にせず、カタカナ英語でもとにかく話せ!」みたいのが最近の流行みたいだけど、それを誤解している人が多い。
それは「英語を話さないといけないシチュエーション」での話であって、決して「発音を勉強しなくていい」という話ではない。
なのに、多くの人は発音を学習するのは「キレイな発音でカッコよく見せるため」くらいにしか思ってない。
はっきり言って、発音の学習を早い段階でやっておくかどうかで、学習スピードは冗談抜きに10倍くらい違う。
実は私も昔はキレイな発音なんて「帰国子女の特権」くらいにしか思ってなくて、大学2年の時に音声学の授業を受けるまではかなりカタカナ英語で、ネイティブに話しても上手く理解して貰えなかった。
ただ、2年生の1学期に音声学の講義を受けながら集中的に練習した結果、ネイティブにも伝わり易くなったし、何よりもリスニングが爆発的に向上したのを覚えている。
イェール大学でも、大学院に留学してきた人はまず短期集中的な発音矯正プログラムを受講するらしい。
大学院生はネイティブであろうとなかろうと、学部生の授業を受け持たないといけないから、大学院から非ネイティブとして留学してきた人は授業の質を落とさないために、その発音矯正プログラムを受講する。
私の印象だと、あまりに多くの英語学習者が「勉強しているうちに発音は勝手に良くなっていく」「まずは単語、文法、リスニング、などの基礎ができてから発音に手を出すべき」と信じ込んでいるように思う。
これって、順序として全く逆で、発音こそ最初にやる事でその後の学習効率が一気に加速する。
あと、この本が指摘している点で、もっともなのは、「ネイティブに教われば発音は良くなる、というのは幻想」という事。
これはホント、的を得ているよ。
だってさ、あなたは外国人に対して日本語の発音を体系的に教える事できる?できないよね。
「発音できる」と「発音を教えられる」は全くの別物。
さらに言うと、日本の大学で基礎家後なんかを教えている教授や講師って、大抵は「英文学」の専門家であって、音声学の専門家じゃない。
つまり、畑違いの人間が片手間にやってるって事。
以前は発音の学習をするとなると、誰かに指導をして貰わないといけなかった。
一人では間違いにも気がつけないし、練習のしようがない。
私が学生の時に受けた音声学の授業も講師に発音をチェックして貰いながら進んでいた。
だけど、幸い最近は独学でも発音を改善する事のできるツールが揃っている。
もしもあなたが、これまで発音に気を配っていなくて、現状の勉強法で成長を感じられていない人はこういったツールを活用してまず発音矯正から取り組んでみて欲しい。
発音強制にオススメの教材を紹介しておく
↓ ↓ ↓
2000人以上の日本人をバイリンガルに変身させた英語教材とは?
2. その次は文法
最近の英語学習の流行として、「子供が英語を学ぶように英語を学びなさい」というのを耳にする事はないだろうか?
つまり、文法とか細かい事を気にせずにまずは英語に耳を慣らしていって、ストレスなく自然に英語を身につけよう、というモノ。
それどころか、「文法なんかやってるから本当の英語力が育たないんだ!」くらいの事を平気で言ってるものもある。
私は個人的には、少なくとも「文法がいらない」というのは間違っていると思う。
前にも書いたけれど、子供と同じようにやったって、脳は子供と違うんだから、同じ速度で吸収なんてできない。
これは、大抵、詐欺まがいの教材を売り込むための決まり文句でさ、「難しい文法なんていらないですよー、一日◯◯分聞くだけでいいですよー」と言って売り込んでるだけ。
まず、英語が苦手な人は文法を「小難しい悪魔」と位置づけて勝手に敵視している人が多いけど、全くの逆。
子供は脳が柔らかくて、音感が良いので文法っていう理屈抜きに言葉を習得できるよね。
私達も日本語の文法なんてそれほど意識せずに日本語をマスターしたよね、それと同じ。
だけど大人はそれができないから、理屈で補って学習を進めていくんだけど、子供は逆にこの理屈で学習する力が弱い。
つまり、
文法とは、大人の英語学習にとっての最強の味方という事。
子供のようにはできない代わりに、それを補って僕らの学習を支えてくれるのが文法なんだよ。
ただし、気をつけないといけないのは、大学入試で出題されるような文法知識はいらないという事。
あんな複雑な構文、全く必要ない。
私は毎日、アメリカ支店や客先と電話やメールでやり取りしてるし、たまに出張で直接会ったりするけど、難関校で出題されるような英文法知識なんて
全く使った事も使われた事はないよ。
No sooner had 主語 過去分詞 than 主語2 過去形
とか社会人になってから全く使わないし、見ないね(笑)
ただ、英文の契約書だとかなり複雑な構文になってくるからそれなりに文法構造を把握する力はいるけど、通常の業務ではまずいらない。
だから、大学入試用の文法なんていらない。
まったく実践的じゃないし、役に立たない。
じゃあ、どうするのかっていう話だけど、世界中の非ネイティブが使っている良質な英文法テキストを使う。
例文も実践的で、日本の文法参考書と比較すると圧倒的に「英語の感覚」を身につける事ができる。
英語で書かれているんだけど、最近は日本語版もあるので、レベルに応じて選んで欲しい。
※ただ、目安としてTOEICで640点を超えていたら絶対に英語版を使うべきだよ
今回、この「世界の非ネイティブエリートがやっている〜」の本で「なるほど」と思ったのが、文法テキストを使って学習する時に、例文を完全に覚えるまで声に出して覚え込む事で、アウトプットとして使える引き出しを増やすという事。そうするとより感覚に近いレベルで文法を体に染み込ませる事もできる。
問題に正解したからOK、ではなくて徹底的に体に染み込むまで読み込む。
イェールの学生ですらそういう泥臭い作業をしているんだから、非ネイティブでかつ日本で暮らしている僕らはもっとやらないといけないよね。
オススメの文法テキストをいくつか紹介しておくと、
3. 単語を増やす
英語を素早く理解する、あるいは英語を話すには単語の知識が不可欠。
とことで、あなたは単語帳って必要だと思うだろうか?
大人になって英語学習を始めようとする人で、まず単語帳を買うって人が多い。
日本人の大半は、人生で一番英語を勉強するのって大学受験の時ってゆー人が多いと思うんだけど、受験生の時って絶対単語帳を買うじゃない。
ターゲットとかDUOとか。
そのせいか、英語の学習は単語帳が無いと始まらない、と思っている人が多い。
間違ってはいないけど、必要かどうかは目的によって変わってくる。
もし、「◯◯月までにTOEIC◯◯点達成」とか「英検◯◯級」といった試験の目標がある場合は単語帳を使った方が効率がいい。
試験によく出る単語を絞って掲載しているからね。
だけど、試験を目的としていない場合は、単語帳は別に必要ない。
むしろ、必要なのは自分で単語リストを作っていく作業。
実際、単語帳ってのは試験で正解を導く助けにはなるけれど、本当の意味での語彙力形成にはあまり向いていない。
どういう事かというと、単語とスペルと意味だけ覚えても、実際に感覚というか手触りがないんだよね。
例えば、大学受験の時に単度調を使いながら
・tremendous :莫大な
・huge :巨大な
・enormous :巨大な
・vast : 広大な
・immense :途方もない、非常に大きい
とかって覚えると思う。
意味は日本語にしちゃうとどれも似たりよったりで同じ意味なのかと思う。
試験で出る英文和訳なんかは機械的に訳語を当てはめれば正解になるワケだから、意味だけ覚えていればいい。
だけど、実際にはこの単語だって微妙にニュアンスや使う場面が異なってくる。
でも、僕らは文字の上で極めて二次元的にしか意味を捉えていないから、その違いが分からない。
単語帳を使っている限り、この問題は解消されない。
単語帳にはズラーーーっと単語とその意味と例文が並んでいるだけだから、「この単語はこういう意味」というのは分かっても、感覚としては入ってこない。
一応、例文もあるけどそこにはリアリティが無いので、どういう状況で使われるべき単語なのか分からない。
そこが、日本の中で英語を勉強している人の最大のハンデといえる。
この問題を解消するのにいいのがニュース、映画、ドキュメンタリーなどの動画。
何故なら、動画はその「状況」がとてもよく分かるから。
つまり、
動画の中で単語を覚えると、「どういった状況で使われる単語なのか」「どういった状況を表す単語なのか」といった事がしっかりと捉える事ができる。
「世界の非ネイティブ〜」の本の中では、このように意味だけでなく「状況」と結びついた単語知識を「奥行きのある語彙力」と言い表しているけれど、本当に大事なポイント。
これを養えるかどうかは、そのままダイレクトに「英文からリアルな状況をイメージできるかどうか」「英語でリアルな状況を相手に伝えられるか」に影響してくるからね。
最後に
私は英語をツールとしてそれなりに使いこなせるようになるまでには、大きく分けて2つの段階が存在すると思っている。
最初は「英語を勉強する段階」。
そして次に「英語で勉強する段階」。
今回の記事で紹介した「発音」「文法」「単語」というのはどれも最初の段階の最初のステップ。
つまり、発音を学んだり、基礎的な文法をマスターし、ある程度の語彙力を付けるっていうのは「英語を勉強する」っていう段階になる。
つまり、英語が「目的」になっている状態。
では、その次の「英語で勉強する段階」というのは何か?
簡単にいうと、英語上級者とされる人の学習方法。
英語が得意な人に英語の勉強方法を尋ねると
・映画を見る
・TIME誌を読む
・小説を読む
・英字新聞を読む
みたいな、答えが返ってくるよね。
例えば、英検1級取得に向けて勉強してる人って、こんな風な勉強をしている事が多いんだよ。
案外、英検用のテキストってそんなに使ってない。
だって、英検1級くらいだと、問題集やって受かるようなレベルじゃなくて、本当の英語力が試されるから。
言い換えると、こういった類いの方法は既に英語をツールとして使用しているレベル。
彼らは文法の時制がどうだとか、関係代名詞がどうだとかいう勉強はしないし、単語帳でカリカリと単語を覚えたりしない。
むしろ、英語を通して何か興味がある分野の知識を吸収している感覚に近い。
つまり、
英語が「目的」ではなくて「手段」になっている状態。
初級者が上級者の真似をして英字新聞を読み出したりして1日で挫折するようなケースがあるけど、それはこの2つの段階をゴチャ混ぜにしているから起ってしまう。
センスの問題でも何でもなくて、レベルが合っていないだけの話。
だってさ、車の運転をできるようになろうと思ったら、まずは教習所に行って、車が走る基本的な理屈とか、基本的な運転操作について学ぶじゃない。
ここで言ってるのは、教習所をすっとばしていきなり首都高を走るようなもんだよ。
まあ、車の運転と違って間違っても死にはしないけどね。
英語をマスターしようと思ったら、まず「英語を勉強する段階」から「英語で勉強する段階」へできるだけ早くステップアップする事を強く意識しよう。
では、「英語で勉強する段階」へ行くのに必要となるものは何か?
それは、今回お伝えした「発音」「文法」「単語」の基礎をまず徹底的に身につける。
あくまで基礎だけ。
次に、ニュースやドキュメンタリー動画などを使って、音読を積み重ね、「発音」「文法」「単語」に磨きをかけていく。
ここで、リスニング力も一緒に成長する。
音読を何回も繰り返していると、ある時から英語を理解するスピードが格段にあがり、TOEICのスコアも伸びてくる。
この基礎トレーニングを繰り返し、公式問題集などの問題集を使えばTOEIC700点くらいまではあっという間だったりする。
そして、TOEIC700点を超えてきたら「英語を勉強する」方法から「英語で勉強する」へシフトする基礎はできているので、
勉強方法を2段階目へ引き上げよう。
要するに、順序としては、
「発音」「文法」「単語」 → 「音読」による反復練習 → 「英字新聞・映画・TIME誌などを使った学習」
となっていく。
よく、音読を何回やっても効果が感じられないという人がいるけれど、それは一番最初の「発音」「文法」「単語」ができていないケースが多い。
ゆっくり読んでも意味分からないものを音読したって意味ないからね。
チェーンの外れた自転車を一生懸命こいでいるようなもんで、いっこうに前に進まない。
2014年も後半。
今年の頭に英語学習を目標に掲げた人は今一度、現在の学習方法が合っているかを検証して、残り数ヶ月、英語力をしっかり伸ばそう。
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