TOEICのパート5で選択肢を削る切り口は、究極的には2つしかありません。
文法の切り口と意味の切り口です。
文法の切り口というのは、文法的に見て空欄には絶対に入り得ない選択肢を削るやり方です。一方で、意味の切り口というのは、意味から考えて空欄に入りそうなものを選ぶやり方。
スコアがなかなか伸びない人は、意味の切り口から入る傾向があるように感じますが、私は意味の切り口から問題に取りかかる事をオススメしません。何故なら、意味だけ考えてしまうと、迷路にはまって抜け出せなくなるからです。例えば、選択肢にfamiliar(慣れている、親しい)、accustomed to(慣れている)、usually(いつも)などのような似た意味の単語が並んでいると「どれが一番自然だろうか」などと考えてしまうのですが、正解か不正解かの分かれ道は「どれが自然か」ではなく、単純に文法的な理由である事が多いからです。
にも関わらず、選択肢を目の前に「うーーん、、、」と意味だけを考えてにらめっこしてしまうケースが非常に多い。考えても無駄なんですが、当の本人は「もう少しで解ける気がする」という根拠の無い予感に取り憑かれてしまうのです。
意味の切り口を使うべき場面はかなり限られています。
・文法の切り口で選択肢を削ったが最後に2個以上の候補が残っている時
・選択肢に並ぶ単度が全て同じ品詞である時
だけです。
PART5は1問15〜20秒で解かないとハイスコアは望めません。
つまり、どれだけ効率良く不正解を排除し、正解を選ぶかが勝負なワケです。その点から言いますと、文法的な切り口から取りかかる方がはるかに効率的です。
そして、目指すべきはシステマチックな検証プロセスです。
どの問題に対しても、同じ手順で取りかかる事ができれば、効率はかなり改善され、迷路に迷いこむリスクも抑える事ができます。その、いわば「一貫した解答スタイル」の確立こそがこの講座のまず目指すべきところです。
そしてそのプロセスとは
1. 選択肢を眺める → 何を問う問題かの見当をつける
2.文章全体の構造を把握する → 主節の主語と動詞はどこか?あるいはそれを空欄に入れるのか?
3.文法的な観点から空欄に入る事ができない選択肢を消す
4.文法的な観点から空欄に入る選択肢が2つ以上あれば意味の観点から絞る
という基本的な流れです。
時に文法的な切り口からとりかかってみたり、時になんとなく意味から入るというような行き当たりばったりな解答の仕方は時間を浪費します。練習を通じて何度もこのプロセスを踏む事で、反射的に行えるようになります。まさに「体で覚える」というレベルですが、そこまで持っていって始めて「正答率を保ちながら素早く解答する」という事ができるのです。
時に「頻出パターン」としての知識を必殺技的に使って、一発で解答を導けるケースもありますが、まずはこの基本ステップをしっかりと踏む事の方が大切です。必殺技ははまれば効果絶大ですが、問題と噛み合ないとまるで効果がありません。こういう頻出パターンにはめ込んだ解法というのは、野球でいうフルスイングみたいなもので、0か100かという話になってしまいます。
クリーンヒットすれば1問を5秒で解くのも可能ですが、まずは1問20秒をかけて確実にヒットを打って行く練習が必要です。例えホームランが打てても打率が低ければ意味がないのです。だって、TOEICではヒットでもホームランでも得点は一緒なのですから。大事なのは打率(=正解数)です。
DAY6
と言うワケで、DAY6です。
オーイエー。
The sales person _ _ _ _ _ Ms.Thompson of the exclusive discount campaign available only for loyal customers.
(A) will be informed
(B) will be advised
(C) informed
(D) has been advised
制限時間は20秒。
ハイ。
正解は
(C) informed
どうでしたか?
不正解だったとしても、気にしないで下さい。
今大事なのは、プロセスです。
例え正解だったとしても、プロセスが踏めていなければ意味がありません。
では、最初のステップから。
The sales person _ _ _ _ _ Ms.Thompson of the exclusive discount campaign available only for loyal customers.
(A) will be informed
(B) will be advised
(C) informed
(D) has been advised
選択肢を眺めると、問題の意図がなんとなーく見えて来ますね。
informとadviseの違いを問う問題?
時制を問う問題?
さて、どうでしょうか。
では、ステップ2です。
主節の主語と動詞を見極める訳ですが、今回は簡単ですね。従属節が無いので、主節しかありません。主語はThe sales personで動詞は空欄部分ですね。
実はもうここで正解が出せます。
まず、informとadviseの細かい意味の違いはここでは無視しますが、いずれにせよ相手に何かを「知らせる」というような意味を持っている事はわかります。
問題なのは、The sales personとMs. Thompsonの関係ですが、どちらが「知らせる側」でどちらが「知らされる側」なのでしょうか?
文章の後半を見ると、the exclusive discount campaign available only for loyal customersとあります。「ロイヤルカスタマー(重要顧客、お得意様)限定のディスカウントキャンペーン」ですが、まあ、ディスカウント・キャンペーンだという事が分かれば十分です。
このキャンペーンをinformないしはadviseするのはThe sales person(営業)ですよね。どう考えても。
その瞬間、この文章においては受け身である(A)(B)(D)の選択肢は消えます。
営業がお客さんから割引キャンペーンを教えて貰ってたら失格ですよね(笑)
「なんかキャンペーンやってるらしいじゃん」「え、当店でですか?マジですか?」的な。
この問題は、adviseとinformの意味的な違いや、時制を問う問題ではないという事に気がつけるかどうかなのです。実際は単純に能動態か受動態かというだけの話です。選択肢によって間違った方向に誘導されてしまうと迷路にはまります。しかし、きちんとステップを踏む事でそれは回避できるワケですね。
この、能動態か受動態か、という問題はもの凄くよく出題されます。
一見、単純なように思いますが、主語か動詞が空欄になった瞬間見えにくくなるのです。
(A) will be informed
(B) will be advised
(C) informed
(D) has been advised
今回は動詞が空欄のパターンですが、選択肢にしてこう並ぶとどうしてもinformとadviseという単語の意味の違いや、時制に目がいってしまいます。そこでステップ2の「主節の主語と動詞を見極める」を踏まずに意味や時制の事ばかり考え出すと、その先に正解はありません。時間を無駄にして終わりです。だからこそ、「これは〇〇を問う問題だ!」と思ってもすぐに飛びつかず、きちんとステップを踏む事が大切なのです。
頻出パターンとしての解法
この問題は、さきほどフルスイングと例えた「頻出パターン」にはめ込む解法でもいけます。
inform 人 of 〜 人に〜を伝える
advise 人 of 〜 人に〜を通知する
は頻出ですので、覚えておいた方がいいのですが、この知識があれば、
The sales person _ _ _ _ _ Ms.Thompson of the exclusive discount campaign available only for loyal customers.
赤字部分がちょうど「人 of 〜」になっている事に気がつきますね。
ですから、adviseでもinformでもいいのですが、とにかくここには能動態となるものしか来ない事が分かります。
この方法なら5秒で解けます。
ですが、この手の知識だけに頼るのは危険です。繰り返しになりますが、この手の知識だけのフルスイング解法は「知らなかったらアウト」なのです。知らなくても基本ステップを踏めば正解は見えて来ますから、時間は少しかかるけど、落ち着いて対処しましょう。
単語
一応、この講座では重要単語はピックアップしています。
というのも、単語が全く分からなければ、基本ステップの踏みようがないからです。文法の切り口であれ意味の切り口であれ、語彙知識があって始めて成り立つものなので、単語はこまめにストックしていきましょう。
The sales person informed Ms.Thompson of the exclusive discount campaign available only for loyal customers.
exclusive:排他的な 限定の
※〇〇限定モデル、というのはよく◯◯exclusiveという言い方をします
※exclude「除外する」include「含める」もセットで覚えておきましょう
available:有効な、入手可能な、利用可能な
※会話では、電話で”He’s not available.”「彼は今、いません(席を外しています)」という表現はよく使います
loyal customer:常連、お得意様、重要顧客
※一般に、売手が決めた購入頻度や購入金額を上回っているお客さんを指す場合が多いです
ではまた次回!
TOEICハイスコアを本気で目指したい人はリスニング対策もチェック
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