TOEIC対策において、PART5は非常に大切です。いや、マジで。問題数が少ないせいか、やたら甘く見ちゃってる人が多いPARTですが、ところがどっこい非常に大切な存在なのですよ。
まず、TOEICはリスニング・パート(PART1〜4)とリーティング・パート(PART5〜7)で構成されている事はご存知かと思います。
つまり、リーディング・パートはPART5から始まるワケですが、リスニング・パートは黙っていてもナレーションが時間通りに進むじゃないですか。居眠りしてようが、鼻ホジホジしてようが、勝手に次の問題へと進んでいくワケです。逆に、「ちょ、待っ、、、」と言ったところで無情に過ぎていくのがリスニング。
一方で、リーディング・パートは完全に自分で時間管理をしないといけません。リスニング・パートからリーディング・パートへの切換え点。それがまさにPART5であり、ここできちんとモードを切換え、スピードの波に乗れるかどうかは凄く重要なポイントです。
リーディングの得点源となるのは言う迄もなくPART7の長文達ですが、ここにいかに時間を回せるかー、それも又PART5次第なワケです。TOEICはネイティブに言わせれば「クレイジーなスピードテスト」とされるくらい、とにかく回答時間が限られています。よく、TOEICを受けて「時間全然なかった、、、」「解ききれなかった、、、」とショルダーをがっくり落とす人が多いですが、PART5に時間をかけ過ぎているケースが多いんです。
・短文の穴埋めなので、何となく「頑張れば解けそう」という意味不明な自信が沸いてくる
・リーディング・パートに突入したばかりなので、「まだ時間たくさんあるし、、、」と錯覚してしまう
などなど、要因は色々ですが、PART5こそ分からないものには見切りをつけながら自衛隊ばりに厳格な時間管理のもとに進めなくてはいけません。
次に、PART5で問われる「語彙知識」「語法知識」「文法知識」はリスニングであろうと、長文読解であろうと必ず必要なものです。これらの知識が無ければどのPARTも歯が立ちません。逆を言えば、PART5の対策を通じて鍛えられた力は必ず他のPARTでも力を発揮します。
今回、PART5攻略作戦として銘打ったこの企画は、頻出問題の傾向とポイントはもちろん、それ以上に「正解にたどり着くまでのプロセス」を重視しています。
なぜ選択肢Aが正解でBCDは不正解なのか、という事は大抵の問題集に載っているんです。しかし、大切なのは、限られた時間の中でいかに正解にたどり着くかという事です。問題集を通じて得る知識は「手持ちの武器を増やす」という事に主眼が置かれていまが、「その武器をどう使っていくか」という事はあまり説明されていないように思います。
問題にはパターンというものがあり、使うべき武器は問題を見た瞬間におよそ見当がつきます。そこで手持ちの武器で処理できるかやってみます。武器Aでどうか、ダメならBでどうか、それならCか、、、と試していく訳です。問題の趣旨にはまる武器を持っていれば正解はすぐに導けるようにできているのがPART5の特徴です。
時に、手持ちの武器では一発で問題を仕留められないケースに出会うものです。
時には効果のある武器を持っていなくて、ナイフで立ち向かわざる得ない場面もあります。1つには絞れないが、2つまではどうにか選択肢を絞るような、いわば「苦しいアプローチ」ですが、ないよりはマシです。
そういう事を含めてのPART5対策だと考えた方が効果は短期間で出て来ます。TOEICの問題解説に関する情報は星の数ほどありますが、このブログでは、ただ問題のパターンや頻出の文法知識などを説明するのではなく、1問に与えられた20秒という限られた時間で、いかに問題を料理していくかというプロセスに着目していこうと思います。
一日一問、という事でこなせる問題数には限りがありますが、その分、分かり易いものにしようと心に誓ったような。誓ってないような。
DAY1
では、記念すべき第一問。オーイエ。
The product brochure has not been updated _ _ _ _ _ the previous model was released.
(A) from
(B) by
(C) until
(D) since
いくぜ。
まず、選択肢には前置詞と接続詞が並んでいます。問題文に目をざっと通すと、空欄の前後で
・brochure(カタログ)が更新されていない
・前のモデルが発売された
という2つの文章が存在している事がわかります。
で、ですよ。
2つの文章が並んでいる瞬間に、前置詞は選択肢から即座に消します。
前置詞(inとかonとかfromとかbyとか)は後ろに名詞しか来ません。5文型のどれでもいいですが、とにかく「文章」と呼べるものは後ろには来ない。なので、選択肢のfromとbyは前置詞であるという時点でサヨウナラな訳です。
まず、文法的に入らない選択肢はバッサリ斬る。
じゃないと、「あ、、、きっと、前のモデルが発売されてから、カタログが更新されてないって意味だな」という予測をした瞬間、from(〜から)に目がいってしまいます。意味的には何となくピッタリな感じがしますから、ここで「fromかな、、、」という無駄な検証を始めてしまう事になりますから。
では、残りは接続詞として使えるuntilかsinceか、という話になりました。
正解の確率は50%です。
untilは「〜までずっと」
sinceは「〜以来、ずっと」
ていう意味ですね。大丈夫ですよね?基本単語ですから、知らなかった人は今覚えて、あたかも前から知っていたフリをして下さい。
意味の面から考えてみると、
untilであれば、「前のモデルが発売されるまでずっとカタログは更新されていなかった」となり、sinceであれば「前のモデルが発売されてからずっとカタログは更新されていない」となります。
意味的にはどちらもはまりそうな気がします。
ここで、「うーーん、どっちかなー」とグルグルしてはなりません。考えたって分からなもの。
あとは文法的な切り口で責めるしかありません。
注目するのは2つの文章の時制です。要するに、どっちがより昔の話かって事。
1. The product brochure has not been updated.
2. The previous model was released.
1は現在完了、2は過去形です。はい、どっちが昔でしょうか?
答えは過去形です。
現在完了ってhaveの後ろに過去分詞形がくっつくもんだから、なんとなく過去形と同じようなジャンルと思ってる人が多いけど、これは「現在形」の仲間ですからね。現在完了っていうのは、「ある過去の時点から今もなお」的な意味で、フォーカスは「過去」よりも「現在」にあります。「今を生きる」ってやつです。
そうすると、untilだと変なんですよ。
untilであれば、「前のモデルが発売されるまでずっとカタログは更新されていなかった」という意味になる、でしたよね。だとすると、、、、
カタログが更新されていなかった時期
は
前のモデルが発売された時
よりも昔の話という事になりますよねぇ。つまり、前のモデルの発売より後はカタログは更新されていた、という話になります。だけど、先ほど言った通り、時制を見るとより昔なのは「前のモデルが発売された時」になっています。
untilでは文法的に成り立たないという事になります。
というワケで、正解は(D) sinceとなります。
ちなみに、
The brochure had not been updated until the previous model was released.
であれば成り立ちます。
これであれば、前半が過去完了になって過去形よりももっと昔を表す時制になりますから。参考書で言う「大過去」ってヤツですね。なんだよ「大過去」って、、、って感じですが。海賊時代じゃなくて大海賊時代、みたいな。ネーミングセンス疑います。「過去よりももっと過去。つまり、チョー過去」的な発想だったのかな、、、?まあ、過去完了だろうが大過去だろうが、コンセプト自体は同じものなので、わざわざこんな分け方しなくていいんですけどね。その話はまた今度。
しかし、、、英語は時制にうるさい言語なので、なかなか時制は苦労するんですよね。。。「時制に出会って俺は英語を諦めたのさ、、、」という人も多いんじゃないでしょうか。
はい、では今回の解答プロセスで大事だったのは、
- 空欄前後に文章が存在している事に気がついちゃった俺
- まず文法的に空欄に入る事のできない選択肢はバッサリ斬った俺
– 2つまで絞ったら、意味の面から比較検証した俺
- それでは決めきれないので、文法の面から再検証し正解を導いた俺
という流れです。そして選択肢を削るのに使った武器は
- 品詞の知識(前置詞の後は?接続詞の後は?)
- 単語知識 ( brochure, updateなど)
– 時制の知識
という事になります。
これは、別に「こういう問題が出て来たら、この順番でこの知識を使う!」という複雑なもんではありません。そんなのパターン毎に覚えてたら「必勝解答パターン300!」みたいな事になってしまいます。
300も覚えられるか。もはや「パターン」と呼ぶに気にもならん量じゃねーか!
というレベルです。実際そういうアホな参考書は沢山ありますけどね。「いや、絞れてないやん」って言いたくなるやつ。
どういう知識を引っ張り出して、どういう順で選択肢を削っていくか、というのは実は数をこなすとかなり機械的に行えるようになりますから安心して下さい。でも、ガムシャラに数をこなして、単語や文法を暗記してもダメです。どういう流れで選択肢を削っていったのか、それをきちんと意識しながらやる事が大切。筋トレする時に使っている筋肉に意識を向けるのと一緒です。
このトレーニングを重ねると、本番でも集中力が高まった状態で機械的に選択肢を削り、焦る事なく正解を導き出せる、いわば「ゾーン」に入った状態に持って行けますから、実直にストイックにこなしていきましょう。
次回もなるべく早めに更新したいと思います。
ではでは。
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