商社に英語バカはいらない。

海外と取引をするビジネスマン(事業会社の海外営業、商社マン etc..)は英語ができればいいってもんじゃない。

 

って事をしみじみと感じてる秋の始まり。秋限定のビールに手を伸ばさずにはいられない程、頭を悩ます存在。
それが、社会人2年目で最近私の下にきた後輩(女性)。

 

初めて見積もりをやらせてみると、自信満々に「できました!」つって。

 

 

アレ、、、。
ウチの販売価格が、仕入れ値の10倍を軽く超えてるけど、、、?

 

まあ、商社なんで、トレーディングにおいては、仕入れに輸出にかかる費用とマージンのっけて売値を決めるのが基本ですが、10倍ってのはまずない。
軽い割にかさばる貨物であれば、運賃が高くなってコストがかさむけど、10倍なんていうもはや界王拳に近い数値はありえない。

 

よくよく見ると、為替レートが逆になってる。

 

この世界では、私が知ってる限り1ドルは120円くらいで推移してるハズですが、1円が120ドルになってる。
まあ、入力ミスかなって。誰にでもあるじゃんって事で優しく指摘してみると、、、ん?あんまり為替の事わかってない、、、?

 

なんか頭の中で、円高と円安がごっちゃになってる様子。
輸出の場合、外貨販売するなら円安になると困るワケです。だから実際の為替レートよりも多少、円高なレートで見積もりをしたりするワケですが、逆をいってる。「世界中を敵に回しても僕は君を信じる」みたいな勢いで逆をいってる。

 

 

私「んー、、、、じゃあ、1ドルが120円の時と100円の時。円高はどっちよ?」

 

後輩「ひゃく、、、にじゅ、、、うえん、、ですか?」

 

 

おい。
まあ、確かにね。高という字がつきながら、数字は減るので初めてなら分かりにくいわな。
でもね、あなた学生じゃないんだから、と。もう2年目で後輩もできたんだぞ、と。火曜になると決まって月9ドラマがどうだった、とか言ってる場合じゃないぞ。石原さとみが可愛いのは分かってんだよ。

 

 

私はちょうど新卒だった頃にリーマンショックがどうとか言ってたから、世の中為替レートの話一色だったのを覚えてるけど。まあ、彼女は当時高校生でチェケラッチョしてたワケだからそんな事どうでもよかったんでしょうけど。株価よりも、輸出企業の苦しみよりも、花火大会に誰と行くとか、スカートの丈がどうとかに夢中だったワケだよね。うん。

 

 

正直、商社なんかだと新卒で入って来る人間の中にはかなりの割合で、「英語しかできない人」ってのが混じってくる。
特徴としては、とにかく数字に弱い(笑)私もそうだったからわかる。

 

でもねぇ、、、円安か円高かくらいは当時の私でも知ってたし、、、。
といっても為替の基本から教える時間もないので、「ちゃんと勉強しろ」って言ったら「そんなの教わってません」と。

 

私は、「聞いてません」「教わってません」「私の仕事ですか?」という人がレバーと貝類の次に嫌いなのです。
思わずイラっとしてしまって。

 

 

「そもそも、為替は一般常識。会社で教わろうと思ってる事がおかしい。学校じゃないんだから。英語できる人なんてこの部署全員そう。英語しかできないなら単純な出荷だけやってなさい」と自分でもびっくりな勢いでズバっと言ってしまって。後で近くで話を聞いていた私の先輩にプチ怒られました、、、。

 

 

英語できるってのがその後輩にすると、英語はある種の誇りだったようで(とはいっても、留学経験が多少あるくらいで、あまり上手くはない、、、)、そこをONE PIECEのクロコダイル先輩よろしく「このグランドラインにゃお前みたいな口先だけのルーキーは五万といるんだ」と言ってしまったので傷つけてしまったみたい。きっと学生時代は周りよりもTOEICスコアとか良くって、周りからも「英語できて凄い」とか言われてたのに、入社したら英語は普通なワケで誰も褒めてくれないどころか英語での電話の対応を注意され、英文メールの書き方が「稚出で何言ってるか分からない。きちんとした英語を使え」と怒られる。

 

そこにるろうに剣心の抜刀術の勢いで私がズバっと。朝ズバっと言ってしまったものだから凹んだ様子。

 

ただ、「英語は必要だけど、それだけじゃ何もできないよ」という事をきちんと言って、これから指導しないと、きっと、とんでもない勘違いをしたままになっちゃう。

 

 

じゃあ、英語の他に何が必要なのか?って事を改めて考えてみると、私自信、いつも必要に迫られて勉強してきたので頭の中で整理されてなかったんです。
で、帰りにカフェによって、彼女を今後どうやって指導して、どういう力を付けてあげたいのか、を自分の今迄を振り返りつつ思ったワケです。ルフィーを思うシャンクスばりの親心を旨に、目の前にキャラメル・フラペチーノを携えつ(頼むのちょっと恥ずかしかったけど頑張った)。

 

Financial graphs and charts

 

で、考えた挙げ句私がたどり着いたのは、

 

1.英語
2.貿易知識
3.会計知識
4.法務知識

 

だったワケですよ。

 

 

英語

 

まあ、英語の大切さはこのブログのテーマでもあるワケで、それをここで全て書き切る事はできないので、、、というか、それができたらもうこのブログ終わっちゃうから。うん。

 

ただ、ここで言う英語ってのは「わきまえた英語」です。ハイ。
私が後輩にキツく叱るのは、稚出で失礼な英語です。

 

後輩(女性)は、一応留学経験はあるみたいですが、いわゆる学生英語で、英語で話す時に友達と話すような話し方になったり、メールも急いで書くと間違いだらけ。なんで私が横からクドクド言うワケです。メールでCCに私がいれば、またクドクド。「何が言いたいのかわらかない。なんでhaveなのに現在形なんだよ。中学生でも間違わないよこんなの」「仕事のメールくらい丁寧に書け。LINEでチャットしてんじゃねーんだよ。説明が足りてない。」と。

 

・稚出な英語は時にストレートすぎて相手をイラっとさせるリスクがある。自社の海外拠点なら許されてもお客様をイラっとさせるのはありえない。英語だから稚出になる、ってのはアナタのスキル不足でアナタの都合。
・言葉が足りないメールを特に時差のある国の人に送ると、それだけで時間を無駄にする。受け取った人は何が言いたいのか分からなくて、「どういう意味?」と聞き返す。それで一日使ってしまう。

 

これを何度も何度も後輩に言ってるんですよ。

 

僕たちは商社にいるワケで、他の職種のように「とりあえず伝われば」ではいけない。
国内と海外の商売の間に入ってマージンを取るのがトレーディングの基本であって、間に入る人間の英語がそんなものでは恥ずかしくて「お金下さい」とは言えない、というのが私の口癖。きっと後輩は辟易としてるんだろうけど、商社しかり、コンサルしかり、実体あるものを売らない職種においては言葉は非常に大切なのです。メーカーの海外営業も同じ。会社の顔であって、開発部門が開発し、製造部門が作ったものを自分たちが海外へ広めていくワケですから。そこで英語が稚出であれば、会社としてのイメージもそうなってしまう。

 

ちょっとイイ事言った。俺。

 

 

 

貿易知識

 

英会話学校のような「英語教育」という産業に携わっている人を除いて、一般的に英語を使う仕事には貿易が絡んで来る事が多いと思います。
輸出や輸入ですね。

 

私は新卒の頃、メーカーの海外営業部でとにかく輸出業務の実務をやらされました。
出荷を管理して、船積み手配、書類作成、、、と一通り叩き込まれます。それはどこのメーカーでも海外とやり取りがある部署(海外営業部とか国際◯◯部みたいなとこ)なら同じようなもんだと思います。まずは実務から。出荷の数をこなして、とにかく貿易とは何ぞや、を叩き込むと。

 

 

モノが海外に流れる、もしくは海外から流れてくる。その流れを理解しないと仕事にならないですらね。

 

 

特にモノを海外と売買する時は、貿易用語を共通言語として会話するので、ここが分からないといくら英語ができても理解できない。

 

 

会計知識

 

特に国際会計の知識。

 

先ほどの為替の話なんかまさにそう。

 

いかに為替リスクを抑えるか、もしくはリスクを取るのか。レートの動きはどうか。
どういうスキームで為替利益を狙っていくのか。外貨規制はどうか。各国の自国通貨送金のルールはどうか。

 

そういう事を頭に入れていないと痛い目に合います。

 

特に、商社の場合、日本でモノを買って海外へ売る、もしくは海外でモノを買って日本で売る、といったトレーディングの部分においては為替が常につきまといます。そこで、「◯◯円分くらい余裕みてたら大丈夫」なんてやってると、数年後、赤字垂れ流しの血まみれ商権になってるなんて事も。

 

投資案件や機械・設備の一発モノを除く、まあ、商社の基本となるトレーディングでは、数年前に獲得した商権が為替のせいで全く利益が出ないなんて事はよくあります。「誰だよこの案件立ち上げたバカは!こんなレートで利益出るワケねーだろ!」ってのは、まあどこの商社でもあるといいますか、、、。やめたいけど、「赤字だからやめます」とは言えないですしね。やめられない止まらない。カッパえびせん。

 

法務知識

 

関税法など貿易とかぶる部分も結構あります。
後は、特に私自身も必要性を痛感するのが、契約書関係。

 

契約書の英語って、慣れていないと読めない。
これはもう英語ができるできないの話ではなくて、練習の問題。いわば専門用語なので。
しかも、海外との契約書の交渉は案件にもよりますが、まー、揉める。

 

大きい企業なら法務部に海外との英文契約書締結に長けたプロフェッショナルがいたりするから安心だけど、そういう人がいないと営業が自分でどうにかしないといけない。まあ、法務にそういう人がいたとしても、交渉は営業がやるケースが殆どだから、知らないじゃ済まない訳です。しかも、海外の企業は契約書の交渉となった瞬間にリーガル(法務)の人間が出て来るので、そういう人を相手に話をしないといけない。

 

英語を話せる人は沢山いるけど、英文契約書をスラスラ読める人って実は結構少ない。
しかも、どういった部分がポイントになるのかを抑えている人も少ない。教えられる人も少ない。

 

逆をいえば、そこをできるようになると、海外営業としての価値が上がる気がするんですよね。
この辺りは私もまだまだ勉強中なんで頑張りたい次第です。ハイ。

 

 

目次

そういえば、、、

 

大前研一さんが、昔でいう「読み書きそろばん」を現代のサラリーマンに当てはめると「英語・財務・IT」だっつってました。
やっぱ財務(会計)は大事なんですねぇ。ITはまあ、プログラミングとかアプリ開発するレベルじゃないなら今は皆リテラシーが高いので問題ないとも思いますけど。

 

ただねぇ、、、私もそうでしたけど、英語バカが社会人になると数字の弱さに泣くんですよね。
頭が痛くなるってゆーか。大体、「英語が得意です」って言う人は右脳だけで生きてるんで(笑)なんで私も最初は凄く数字が嫌いでした。毎月の予算との差異分析とか、為替の差損分析とかもう頭から湯気出るっつーの。って感じで。でも不思議と慣れてくるもんで、だんだん数字が好きになってきて、いつからか数字のない曖昧な説明には拒否反応を示すようになってきました(笑)

 

人間、やればできるもんです。

 

なので、私のかわいい後輩にもいずれ、そうなって欲しいです。
ずっと私の下にいるワケでもないでしょうし、何年かしたら転職とかしちゃうかも知れないけど、その時にちゃんと力を付けているように。

 

 

 

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