30代の転職でTOEICは武器となるのか?
「TOEICなんて頑張ったって、、、」
「そもそも英語を使わない仕事をすればいい」
そう思われるかも知れないですね。
確かにTOEICだけで就職が決まる事はないもの。
「へー。TOEIC800点!うん、採用!」ないない。
英語を使わない会社・ポジションも沢山あるし。
そもそも、30代になってくると転職で重視されるのはまず「経験」であって、ポテンシャルではありませんし、ましてやTOEICの点数なんて見られないんじゃないか?
なんて疑問もあったりするワケです。
「グローバルな時代だから」
「日本企業はどんどん海外へ進出しているから」
それでは漠然とし過ぎていて、今一ピンとこないし危機感も湧かない。
事実、多くの人が「やっぱ今の時代、英語くらいできなきゃダメだよねー、俺も英会話通っかなー」と言いながら英語を先延ばしにしちゃってる。
でも、一緒に笑ってちゃ、ダメっすよ。
いや、本当に。
1. 海外市場へシフトする会社は増加の一途
2012年の時点で日系企業の海外法人の数は2,4000社程ありました。
今もなお、年間約600社以上の日系企業の海外現地法人は設立されている。
日系企業はどんどん海外に進出していて、売上げのメインは国内から海外へ移行している。
私が前に勤めていた会社は中小規模のメーカーで、海外拠点はアメリカ、オーストリア、マレーシア、フィリピン、台湾、中国、韓国に持っていたので、日本国内の売上げなんてホントにスズメの涙くらいだったわけです。
これは私が働いていた会社に限った話じゃなくて、あらゆる業界、あらゆる規模の会社に言えること。
特に自動車部品・繊維・化学メーカー・商社や通関業者なんかは海外展開していて当たり前な時代になってるんですね。
だって、客となる企業が海外に出ていけばそこと取引をしている企業も自ずと出て行かないといけなくなるから。
今やトヨタ・日産・ホンダ・マツダと日本を代表する車メーカーはみんなメキシコに出ているけど、そしたらやっぱりそこに部品を納めている部品メーカーも進出します。というかせざるを得ない。
トヨタなんて部品サプライヤーごと連れてきますもんね。
「俺がいくんだから、お前らもくるでしょ?くるよね?くるよな?」
もう、拉致です。
特に製造業では、大手企業がある国に進出すればその下請け会社も芋づる式に付いて行くので、海外展開する企業が多いんですね。まして今やラーメン屋まで海外展開する時代なんですから。どんな業界にいたって、ある日突然、海外出向を命じられるか分からない。
そんな流れなので、新たな人材を採用する際に英語力を求める企業はドンドン増えています。何故なら、英語できない人を採用すると海外に出せないから。
とくに30代半ばくらいまでの採用では、将来敵に海外駐在をさせる事を前提に育てていくつもりで雇う事も多い。
新しく入社した人に仕事を教えるのは誰でもできます。
ですが、英語ができない人をできるようにさせるのは難しいし、費用もかかってしまう。
だから採用においては語学力が1つの大きなポイントとなってくる訳です。
そして、何をもって候補者の語学力を推し量るのかってゆーと、まあ、大抵の企業はTOEICなワケです。
なので、TOEICのスコアというのは、「どうせ持っていたって、、、」とも言い切れないのが実情なんですね。外資系などでは面接自体が英語なので、そこで語学力の確認を行ったりもしますが、多くの日系企業はTOEICのスコアを見る。
TOEICが他の試験(英検、TOEFL,IELTSなど)と比較して一番優れているテストなのか?というと、実際、そんな事はありません。
問題なのは試験としてのクオリティーじゃないんですよ。そんなのどうでも良くて、大事なのは「一番多くの企業が使っている」ってこと。
やれ楽天の公用語が英語になって三木谷社長が「社員はTOEIC◯◯点取れ」と言っただの、Softbankは900点なら100万円だの、Panasonicの課長職はTOEIC◯◯点が必須だのと、「週刊ダイヤモンド」や「PRESIDENT」が半年に1回くらい思い出したかのように取り上げるように、大手有名企業が基準として使っているから、必然的に他の会社もそれに右ならえする訳です。それが一番安全だから。
資格の価値というのは、通貨と同じで流通量で決まってきます。
市場で多く流通している通貨ほど強い通貨と言われますが、資格も同じで世間でもっとも評価に使われていることが「価値ある資格」の証となります。
英語系の資格の場合、就職や転職というマーケットにおいて、評価指標として最も用いられているのはTOEICである事は明らかですから、やはりTOEICには転職において価値があると言えると思います。
2019年2月追記:
最近2回目の転職をして、TOEICの転職市場価値について改めて考察をまとめました。
2. 目に見えない圧倒的なチャンスの差
昔に比べ「転職」をする人はドンドン増えてます。
私もしました。
でも、転職はすればいいってもんじゃないですよね。
待遇なり収入なり、現状よりもBetterでなくては意味がない。
なので当然、できるだけいいオファーを受けたい訳ですが、そこでTOEICは好くも悪くも影響力を持ってしまう。例えば、転職エージェント大手のマイナビ転職ではTOEICの点数で募集案件を検索するとスコアによってヒットする数が全然違う。
今現時点で、ウェブ上で公開されている募集案件のうち語学力を求めている案件では
TOEIC730点以上 : 20件
TOEIC800点以上 :136件
つまり、30点違うだけで応募可能な案件の数が6倍近く変わってしまう。
転職エージェントがWEB上で公開している案件は全体のほんの一部なので、実際に登録してみると6倍どころではない差が生まれてきます。
私が転職した時は、外資系のエージェントばかり登録していました。
で、どのエージェントも1週間に何度も電話してきて
「こんな案件あるんですけど、応募してみませんか?」
といった電話をしてくるんですが、中には希望条件とマッチしていない案件をゴリ押ししてくる場合もあるんですよ。
私は前職がメーカーの海外営業だったので、希望職種は「メーカーの海外営業」か「商社」だったんですが、なんかITベンチャー系の案件とか、携帯の通信関係の会社とか紹介してくるエージェントがいたんです。
そりゃ、エージェントからすれば、できるだけ候補者の数を揃えて転職を成立させたい。
それは分かります。
それにしても、節操ねーな、、、と思って一回聞いたんですね、エージェントに。
「何度もお声をかけてくれるのは嬉しいんですけど、業界も職種もマッチしてない僕より他にマッチしている方いるんじゃないですか?」
答えは、
「先方の条件がTOEIC800点以上で、現在候補者を中々集められないんです。ホント、ヤバイんですよー。だから面接だけでも行ってほしいと思って、、、やっぱ、ダメですかね?」
ダメに決まってんだろ。こちとら面接の度に有休使ってんだよ!
と言いたかったけど、丁重にお断りしました。
まあ、面接言ってみたらそこで働いてみたくなった、みたいなケースもゼロではないだろうから、希望とマッチしてなくてもまずは紹介はしてみる、といったところでしょう。
転職エージェントは転職者からではなくて、採用した企業からお金を貰ってるワケで、転職者の希望条件よりも、まず募集企業の意向を優先するんですな。
ここで大事なのは、もし私のTOEICスコアがその時点で790点だったら、その電話がかかってきていなかった、という事。
エージェントは転職希望者の情報をデータベースで持っている。
で、客先となる採用企業が「英語できるヤツが欲しいから、TOEIC800点が最低ラインね。よろしくー」って言ったら、まずデータベース上で800点以上の登録者に絞ってしまうから。
ちなみに、今働いている会社の募集要件もTOEICの条件は800点以上でした。
もしあの時に僕のスコアが790点だったら、エージェントがデータベース検索条件のTOEICの欄に「800」とか入れて検索をポチっとした時に私の名前は上がってこなかった事になります。
もうお察しの人も多いと思いますが、、、、
TOEICが転職において大事な理由は、書類選考や面接で有利だとかそういう事よりも、紹介される案件数が圧倒的に違う事。
10社受けて何社受かるか、という話ではなくて、そもそも何社紹介して貰えるのか。分子を増やす話ではなく、分母を増やす話。
そこに効いてくる。
TOEICはいわば面接に進むための入場券。
採用側は「面接にきている時点でこの人は英語は問題ない」という前提で面接を行います。
面接から先は800点だろうと850点だろうと、そこの点数差はあまり意味がない。
だけど、そもそも面接に進む機会が減るのだから、TOEICに意味が無いなんて言えるでしょうか。。。
ちなみに、
・実体のある製品(部品、機械、食品、etc)を売る商社やメーカーの海外営業職の場合は800点
・実体のないモノ(人材、IT関連サービス、接客)を売っていて海外展開している企業の海外営業で700点
・企業問わず貿易事務職で700点
というのが、面接の前に振り落とされる事なく十分英語力のアピールになるライン。
日本は特にこれまで有形商材(実体のある製品)の輸出を中心としていたのに対して、IT関連や人材系の会社が海外に出て行くようになったのはここ最近の事なので、若干求められる英語力は低い傾向にあります。
4.視点を変えると大きなチャンス
ここまで読んで
「マジかよ、、、気が重くなることばっかり書きやがって、、今さら英語やれってか、、そりゃ、俺だって 好きで英語ができない訳じゃねーんだよ、、、」
と思ったアナタ。
ちょっと考えてみて下さい。
誰も「留学しろ」とか「帰国子女レベルまで英語をみがけ」とは言っていません。
TOEICの点数を取った方がいい、と言っているだけです。
つまり、逆をいえば
今はまだTOEICの点数さえあれば転職活動はかなり有利に運べるし、海外経験が無くてもグローバルな職種に就く事は可能な時代だという事。
ちなみに、私は新卒の時まで海外留学はおろか、海外に行った事さえなかったんですよ。
海外営業職として入社したのにパスポートさえ持ってなかった(笑)
もちろん、TOEICスコアは「入場券」でしか無いので、後はアナタの経験や人柄での勝負です。でも、その「入場券」があるか無いかで、アナタの転職に大きな違いが生まれるのは自明の理じゃないでしょうか。
英語力を伸ばす、という意味においてTOEICの試験としての精度は多々疑わしいところもあります。「TOEICの点数が良くたって話せるとは限らない」という意見も理解しています。ただ、こと転職に関して言えば、「それでも大切」「それでも武器になるのは間違いない」という事なのです。
TOEICのスコアを、短期間で上げる方法はコチラ。
2019年2月 追記:
実は、2018年は私自身が転職活動をしてまして、今度、2度目の転職となりました。
今回の転職活動を通じて、転職活動におけるTOEICのリアルな効力を改めて肌で感じたので、こちらの記事にまとめました。
又、転職活動をする際に登録するべきエージェントについてもまとめました。
実体験ベースなので、どこのサイトよりも実態について詳しく書いてます。
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