今週、仕事でとある中小企業メーカーに訪問をしてきたんですが、その時に英語の重要性をとても痛感しました。
「英語を身につけて、英語を活かした仕事をしたい!」という方に是非紹介しておきたい話だったので書きとめておきます。
このメーカーさんは200人弱くらいの規模で乗用車や農業機械に使う部品を作っていて、コンマ数ミリで金属を削り出す技術を持った日本でも限られた会社。
海外には東南アジアに1拠点だけ最近設立したとの事で、まだ軌道に載ってないみたいですが、これから仕事が増えていくらしい。
今回はヨーロッパ向けの話だったのですが、うちの会社を使って海外クライアントと取引したいとの事で訪問。
驚いたのが、その会社に英語できる人が全然いないという事。
てっきり海外営業部みたいなものがあると思っていたんですが、そんな部署はなくて、海外からの引き合いも言葉の壁のせいで通常は断っているらしい。
というか、返信ができないらしい。
もう、鎖国状態。
「え〜、メールの返事こないんですけどー。これ、黒船出した方がいいレベルだよねー」
で、今回の仕事の話でも
「提出する仕様書や品質書類は英語じゃなくちゃいけないんですか?」
「例外なく英語表記でお願いします。どのメーカー様にもそういった書類は英語で作成して頂いています」
「うちには英語ができる者がいないので、御社に翻訳をお願いはできますか?」
「翻訳業務はお受けしていないんですよ、、、」
「例えば、、、翻訳に手数料をお支払いしてもダメですか?」
正直、「海外を相手に仕事をするのに何言ってんの!?どんだけサムライなんだよ」と思いましたが、話を聞いていると会社として英語の問題はとても深刻みたい。
海外からの問い合わせはくる。
でも、英語ができる社員がいない。
この結果、どういう問題が起きるかというと、
・当然、海外からのビジネスチャンスを逃す
・海外と取引するとしても自社でははできない(商社などを介すので商品の価格が上がる)
・翻訳・通訳を使うので何をするにもお金がかかる
・コミュニケーションにどうしても第三者を挟むため、サービスの質やスピードが鈍る
競合他社が同じ価格で同じものを作れるとすれば圧倒的に不利になりますよね。
さらに、日本国内の需要は少なくなっていく一方なので、海外市場へシフトしていけず淘汰されるリスクが高い。
なんでこんな困った事になっているのかって、やっぱり、中小メーカーは英語を話せる若い人を集められないんですよ。
私は以前、300人くらいの規模の中小メーカーで海外営業として働いていたけど、英語をきちんと使える人って10人にも満たなかった。
ただ、こういう環境というのは悪い面ばかりじゃないんですよ。
私は前に働いていた会社では入社1年目からバンバン海外出張に連れていかれて、2年目から一人でバンバン行かされて3年目にはプロジェクトもので現地へ半年島流しになった。
大変だったけど、とてもいい経験。
大手では中々できないし。
今の会社では英語できない人はいないし、クライアントも海外のみなので「英語ができる」は特別でも何でもありません。
外国人もいれば帰国子女もいるし、留学経験者もいる。
だから、私は英語の面では決して特別ではない。
でも、前の会社では英語が話せるというだけである種、特別扱いされていた。
英語が話せるってだけで偉い人達の会議に呼ばれたり、社長の出張に同行したり。
気疲れするからイヤだったけど。
つまり、
英語を活かそうと思った時に、日系中小企業というのは全然アリだという事。
周囲との競争もなく「英語ができる」ってだけで色々な経験をつめるから。
英語を活かした仕事って考えた時に、海外に進出している大手企業とか外資系企業を思い浮かべる人が多いと思います。
私も学生の時はそうでした。
でも、日本で最も英語スピーカーを必要としてるのって中小規模のメーカーなんです。
私が先週訪問した会社もそうだけど、優れた技術を持っていながら言葉の壁のせいで海外と仕事ができない会社って沢山あります。
英語スピーカーから見た中小企業の良さ
1. 海外にいくチャンスが大手より圧倒的に多い
他に行く人いないので、好くも悪くも海外へドンドン行かざるを得ない。
私も前の会社では「じゃ、来週、台湾の代理店に挨拶周りいってきて」なんてしょっちゅう。
大手だと、、、ちょっと海外いくのに申請だ、承認だ、と面倒なのは事実。
それ相応の大義名分がないと行けない。
中小企業だと1年目だろうが2年目だろうが関係ない。
なので若い人ほど、あえて中小メーカーを選択するというのは実はとてもいい経験になる。
2. 海外営業職でも色々な英語を学ぶ必要があるので専門英語知識も身に付く
私は前の会社では沢山翻訳をやらされました。
開発部の人のプレゼン資料を英訳したり、不良発生の報告書や再発防止報告書を英訳したり、品質管理部署の資料を英訳したり。
その時は「は?そんなの俺の仕事じゃねーだろーー!!!Google翻訳でも使え!」とか思ってたんですが、そのおかげで色々と勉強になった。
だって、英語ができたって品質管理の事分かってないと翻訳なんて絶対できないので、聞きまくる訳です。その道のエキスパートに。
そしたら自分でも段々内容が分かってきて、大抵の品質クレームに対しても上手くコミュニケーションが取れるようになる。
英語はできるけど品質管理や生産管理の事を何も分かってない人はメールでトンチンカンな事を書いたりして余計な混乱を招いてしまいます。例えば、Process Capability(工程能)とProduction Capability(生産能力)は全然違うけど、その辺をごっちゃにして英訳したり。こういった事は英語ができる事とは全く別次元ですし、専門用語ですからTOEICが何点とか関係ないワケです。
この辺の専門英語知識は今でも役に立ってます。
一方、デメリットは
1.給料は大手より安くなる傾向
大手と比較してしまうと、これはしょうがないです。
だから、武者修行の為に中小へいくのは若いうちがいいと思います。
2.なんでもかんでも通訳・翻訳させられる
さっき書いたような事ですね。
他の人のプレゼン資料とか、英語が話せない上司にくっついて海外出張いくとか。
英語ができない人からすると「何を言っても通訳してくれる」と思ってしまうんでしょうが、訳す側からしたらメチャメチャ体力使います。
もう、ツアコンになった気分。
中小メーカーは、英語アレルギーの人多いから、英語がからむと何かにつけて翻訳や通訳を依頼される。
その雑務のせいで仕事が遅れるなんていうイライラも。
海外駐在のクセにGoogle翻訳でメール書いてるアホな管理職もいましたからね。
1年もせずに帰国してましたけど、、、。
とまあ、やっぱいい事ばかりではないのが現実ですね。
じゃあ、外資という選択肢はどうなのか
さっきも言いましたように、英語を仕事に活かすと思った時に外資系企業を思いうかべる人は多いと思います。
でも、外資って実は英語そんなに使わない会社も多い。
書類が英語だったり、他の海外支店とのビデオ会議が英語なんて場面はあるでしょうが、英語でクライアントと折衝する会社って意外と少ないです。
社内で英語使うのとお客さん相手に使うのでは全く緊張感違いますからね。
社内のミーティングで英語使うってのは通じればOKなレベル。
でも、海外のクライアントに何かを売り込むってのは全く次元が違うんです。
会社にもよりますが、取引先の外資系企業の人達は皆そんな事を言っていますね。
外資で働く友達も「意外と英語使わないんだよねー」ってよく言ってます。
コレ、考えたら当たり前なんですよね。
だって、外資系企業って事は本社が海外にあるワケですよね。
その会社は日本の市場を開拓したいから日本に支社を作り、そこに日本人を雇う訳です。
そもそも、日系企業と違って「日本の外にガンガン出て行ける人材」を探している訳ではないですから、思った程英語を使わなくても不思議ではないんです。
ただ、給料は高いとこ多いですよねー。
いいなー、、、。
中小メーカー海外営業職に求める英語力の基準は?
そもそも、会社に英語ができる人がいないんで、採用する側もあまり英語力というものを分かっていません。
留学経験があるだけで「この人は英語ができる!」って信じてしまったり、TOEIC640点くらいで「英語に問題なし」と判断してしまうとこもあります。
1〜2年海外留学していたのに全然話せない人ってメッチャいますし、TOEIC640点は英語で仕事をこなすのに満足なレベルとは言えません。
個人的にはTOEIC730点超えていればアピールにはなるし、仕事もやっていけると思います。
ただ苦労はするハズ。800点でも900点でも苦労はしますから。
730点というのは「どうにかやっていける素養がある」という事です。
一昔前は640点で「英語できる」と思われていたみたいだですが、基準が上がってきています。
これからも上がっていくでしょうから、TOEICの対策は早く始めるに超した事はないですね。
という事で、これから英語を勉強して仕事に繋げていきたい人は中小企業も選択肢に入れてみてはいかがでしょう。
最悪なのは、必死に英語を勉強して転職したら英語を話す機会も海外に行く機会もない、というパターンで大手企業では結構見受けられます。
「この人、こんなに英語話せるのに海外出張に行く話って年に1〜2回しか聞かないな」って人をよく見かけます。
なので、大手だからいいってものでもないんですね。
転職とTOEICについては以前、コチラの記事で詳しく書いたので興味があれば是非
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