社会人の英語教材選びは2つの”◯◯力”を意識すると上手くいく

英語教材、迷いの森

how you chose

 

 

平日の夜7時、書店の語学コーナーにはTOEICの参考書を物色するサラリーマンがチラホラ。
気になるタイトルに手を伸ばし、また戻す。

 

“今度こそ本気で英語を勉強しよう”

 

そう覚悟を決めた社会人が最初にぶちあたる問題は”教材選び”である。
書店の語学コーナーにいけば100種類を超える参考書が並ぶ。
Amazonの口コミを見ても評価はマチマチ。

 

“金を払うんだから一番コスパが高いモノを選びたい”

 

それが人間の性。

 

でも、調べれば調べるほど、どれがいいのか分からないし、目移りしてしまう。
“3週間で完璧ねぇ、、、またまた、、、、マジすか?”

 

あの手この手で売りつけようとしてくる英語学習バブルを上手く利用するには選ぶ側もスキルが必要。
英語学習の教材は1冊買ったら終わりではない。
成長につれ何度も買いかえる。
その度に僕らは情報の波に襲われながら常にベストを選択し続けないといけない。

 

“何を買うか”、ではない。
大事なのは”どう選ぶか”。

 

 

 

 

 

 

分別し、捨てる

 

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例えば、ダイエットグッズの場合、

 

・ゼロカロリー食品
・腹筋ローラー
・脂肪燃焼サプリ
・サウナスーツ

 

これらは、使う目的がはっきり違う。
全体的に脂肪を落としたいのか、腹を凹ませたいのか、ジョギングの効果を上げたいのか。
スレンダーになりたいのか細マッチョになりたいのか。
だから、これらを並べて「どれがいいだろう?」と首をかしげるのはナンセンス。

 

でも、英語教材となった途端、これと同じ事をしてしまう人が多い。
要するに、色々な教材をジャンル分けをせずにごちゃ混ぜに比べてしまう。

ベストな教材を選び出すには、まず分類し、自分の目的と合わないものは除外しなければならない。

 

では、どうやって分類するのか?

 

 

 

サラリーマンの英語学習は2つの力

 

英語教材を分類する場合、

 

・リスニング
・リーディング
・ライティング
・スピーキング

 

といった能力軸での分類や

 

・TOEIC
・英検
・会話
・TOEFL

 

といった試験軸での分類を思い浮かべるかも知れない。

 

しかし、大切なのはこのような分類ではなく、もっと社会人の英語学習の現実にそくしたやり方。
そもそも、社会人の英語学習のゴールは何だろうか?

 

多くの場合、

 

 

仕事で使える英語力を身につけること

 

 

それを客観的に示すだけのTOEICスコアを取得すること

 

 

ではないだろうか?

 

 

いくら英語ができると言っても、転職や昇進でTOEICスコアが求められている場合は、意味がない。
一方でスコアが高くても、海外へ怖くて電話の1本もできないのでは使い物にならない。

 

 

TOEIC以外にも選択肢はあるけれど、現在、企業が使う英語力評価の基準として最もポピュラーなのはTOEICだという事にもはや異論の余地はない。
いわずもがな、社会人の多くにとってはTOEICと英語学習は切っても切れないモノとなっている。

 

 

さて、ここで問題なのは、

 

 

“英語力さえあればスコアは勝手に伸びる”

 

あるいは、

 

”TOEICのスコアが高くなるにつれ、英語力も伸びていく”

 

という誤解。
どちらも間違っている。

 

会話ペラペラな帰国子女でもスコアがパっとしない人。
TOEIC700点を超えているのに、電話応対もままならない人(スコア負けしてる人)

 

どちらも実際に存在する。
前者は大学に沢山いたし、後者は今務めている会社に結構いる。

 

 

要するに、僕らは

 

 

“英語力” と “試験力” 

 

 

この両方の力が必要なのだ。

 

 

ワークアウトとバッティングフォーム

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英語力とはつまり、英語で「聞く」「話す」「書く」「読む」を遂行する力。
一方で、試験力とは試験で高スコアを出すための力。

 

例えば、英語力が全く同じAさんとBさんがいたとして、TOEICのスコアはBさんの方が高いとする。
これは、試験力の差。

 

英語の勉強には2つの種類がある。
一つは英語力をつける為のもの。
もう一つは試験力をつける為のもの。

 

英語力をつける勉強というのは、スポーツでいえば筋力トレーニングやランニングといった体作りになる。
一方で試験力をつける勉強というのは、バッティングのフォーム作りに似ている。

 

当然、一流のスポーツ選手は両方必要。

 

しかし、英語の勉強においてはこの2つがしばしば混同される。
厄介なのは、試験力をつける勉強をして英語力を鍛えている気になっている人。

 

簡単に言うと、TOEIC対策教材しかやらない人。
こういう人に限ってスコアの伸びも悪い。

 

考えてもみて欲しい。
バッティングフォームの為に素振りだけして成果は出るだろうか?
思い描いたフォームを可能にするだけの体力と筋力がないと意味がない。
フォームというのはそれを支えるだけの肉体があって初めて成り立つモノ。

 

 

多種多様な出題パターン(変化球)を打ち返す為の解法パターン(バッティングフォーム)を身につけたところで、そもそも基礎的な英語力(体力・筋力)がなければ当然スコアはさえない。
いくら出題パターンを数多く知っていても、目の前の問題がその出題パターンだと気がつけない。

 

 

例えば、リスニング問題。
そもそも音声のスピードに追いつけない場合、自分の知っている出題パターンかどうか分からないうちに問題は通りすぎていく。
あるいは文法問題。
構造的には単純なのに文章が長いせいで実際以上に難しく見えてしまう。そして正解が分からない。
こういった、見逃し三振を連発してしまう。

 

 

鍛える。打率をあげる。そのメニュー

 

 

 

 

試験力を上げる勉強とはつまり、持っている英語力をスコアに変換する、いわばエネルギー効率を上げるトレーニング。
やる事は単純。

 

まずは、何がともあれ公式問題集。
あとは苦手なパート別の問題集。
これらを必ず時間を計りながらやる。

 

TOEICはネイティブに言わせれば”クレイジーなスピードテスト”と言われる程、時間との戦い。
“時間内に解けない”というのは不正解に等しい。
30秒で解くべきものに2分かけていたら、それが正解だったとしても代わりに3問分の解答時間を失っている。

 

ただし、何度も言うように、これだけやっていても英語力は上がらない。
しかも、思った程スコアも上がらない。

 

英語力が伸びないからだ。

 

では、英語力を高める勉強とは何か?

 

・発音の練習
・基礎文法のトレーニング
・音読

 

この3つが中心となる。

 

リスニングの力を伸ばそうとしてリスニング教材を聞きまくる人がいるけど、それはあまり意味がない。
まず練習するべきは発音。
自分が発する事ができる音は聞き取れるようになるから。

 

次に文法。
音が聞き取れても、文章としての構造が分からないと意味がわからない。

 

そして音読。

 

リスニングというのは、つまり、音声と同じ速度で単語の意味と文の構造をつなぎ合わせて解釈をしていく作業。
それを高速で反復練習するのが音読。
特に、長文を読むスピードは格段に上がる。

 

TOEICのリーディングスコアが低いのは大抵、読むスピードが遅いのが原因。
読むという作業は自分のペースでできてしまうから、つっかえたり、前に戻って読み返したりしてしまう。
しかし、普段からリスニングの音声速度で音読をしていると、そのスピードで英文を解釈できるようになってくる。

 

基礎トレーニングは絶対にかかせない。
これがあって初めて試験力というのはスコアに繋がる。

 

 

 

5km走って、ラーメン、半チャーハン

 

 

すでにお分かりのように、教材を選ぶ時にまず、「英語力を伸ばす為の教材」なのか「試験力を伸ばす為の教材」なのかを見分ける必要がある。
教材に期待できる効果を見誤ると、全く成果が得られない。

 

実際、”英語のやり直し”を始める社会人の大半はここを意識していない。
TOEIC教材だけを買いそろえて、英語力を伸ばすつもりでいる。

 

食事制限だけで痩せようとする人。
筋トレだけで痩せようとする人。
ジョギングしてるからってドカ喰いしてる人。

 

それと似てる。

 

偏ったアプローチは結果に繋がらない。

 

英語力と試験力。

 

その2つを組み合わせる事で、最短で成果を得る事ができる。
この視点を持ったアナタの教材選びと学習アプローチは無敵の独学スタイルになる。

 

 

余談

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もしアナタが、”PRESIDENT”や”週刊ダイヤモンド”なんかを読むサラリーマンならよく分かると思うけど、2〜3ヶ月くらいに一度、急に思い出したかのように“来たる!真のグローバル時代!”とか銘打って、焼き増ししたような記事でもって、英語ができないサラリーマンの恐怖心をあおって、楽天かどっかの英語教育の取り組みと社員の努力を紹介したりしているよね。

 

それはそれでいいんだけど、問題なのは、そういうメディアが取り上げる教材って、今回の記事でいうところの”試験力”をあげる為の教材ばっかり。
英語力を鍛えるものはあまり紹介されない。

 

書店にいっても、”売れてます!”POP立ててるのってTOEIC教材ばっかり。

 

なんでこんなに偏ってるのかっていうと、そっちの方が売れるから。

 

英語力を鍛えるための教材って、つかみ所がなくて、宣伝しにくい。
書店の店員になったつもりで考えると、”3週間で700点突破!TOEIC完全制覇◯◯”みたいなモノと、”発音をよくする本”だったら前者の方が”売れるな”って思うもの。
本棚のスペースは限られてるからね。
書店の”売れてますPOP”は”売れてる”じゃなくて”売りたい!”の意志表示と捉えるべき(笑)

 

そんな事情が、社会人の教材選びにモヤをかけている気がしてならないんですよ。
実際、発音や音読、基礎文法に割く時間とTOEIC問題集に割く時間は7:3くらいでいい。

 

私はTOEICを受験する時は2ヶ月前にならないとTOEICの問題集なんて開かないし、時間がなければTOEICに関係ないヤツで音読だけして終わりにしちゃう。
それでも前回よりスコアが下がった事はなかったし、730点から900点まで右肩上がりでスコアは上げられた。

 

TOEICはやっぱりスピード。
初心者が速く走ろうと思ったら、テクニックより前に脚の筋力を鍛えるのが先。

 

出題パターンや解法っていうテクニックはその後。
基礎トレーニングなしにTOEIC本をいたずらにやりまくるのは、脚の筋肉を鍛えないで、クラウチング・スタートの練習ばっかりしてるようなもの。
そうやって、”売れる教材”に振り回されて成果を出せずにいる人が本当に多いのは残念。

 

そうならないように、今回の内容を頭の片隅に入れておいてくれたら、コレ幸い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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