選択のパラドクスと英語学習 〜 続かない人が陥る負のループ

選択のパラドクスと英語学習 〜 続かない人が陥る負のループ

英語学習が長続きしない人が陥っている負の方程式とは何か?

 

英語学習を始める社会人は増えている。
しかし、現実にはそのうち8割は英語をモノにする前に投げ出してしまう。

 

投げ出してしまう人は「センスが無い」という。

 

だけど、実際の原因は自身の中ではなく、英語学習者を取り巻く環境が引き起こす、ある無意識的な心理的サイクルに起因する場合が多い。
つまり、自分のせいではないのに、自分のせいにして英語学習をヤメてしまう人が多い。

 

では、本当の原因は何か?



 

前回紹介したTEDのプレゼンの一つに深い洞察を与えてくれるものがある。

 

 

バリー・シュワルツ氏が語る選択のパラドックスについて

 



 

 

内容としては、「選択肢が多ければ多い程、人々の自由度は増し、その結果世の中は豊かになる」という一般的な解釈への疑問を投げかけるもの。
つまり、

 

世の中にモノが増え過ぎている事やコミュニケーションの速度が速くなった為、人々がて日々「何かを決めること」に追われてしまっているという事。

 

例えば、最近では日本でノンシリコンシャンプーなんて流行ってるけど、種類があり過ぎてどれがいいか分からない。
新しいスマホを一つ買うだけでも機能やデザインを比較しながら膨大なラインアップの中から決めないといけない。

 

この自由による不自由さみたいなものは、英語学習にも言える事。

 

「今の時代、英語くらい使えなければいけない」と誰もが当たり前のように思っているし、帰り道に本屋でビジネス雑誌を開けば「グローバル時代の到来!」「楽天で英語を社内公用語化!」「このままでは危ない!」なんて感じで煽りに煽っている。

 

一方で、英語を学習する手段もここ数年で爆発的に増加したし、僕らは数多くの選択肢の中から最適なものを選ぶ事ができるようになった。
だけど、これって一見便利なようで実はそうではない。

 

英語学習の一番の問題は「続かない」こと。
まあ、サラリーマン100人いて英語の学習を初めても半年以内に半分以上の人は投げ出してるよ。
その問題について、この動画は一つの洞察を与えてくれていると思う。

 

大人になってから真剣に英語をやり直そうとしている(したことがある)人なら分かると思うけど、あまりに選択肢が多くて決められないよね。
だって、例えば

 

“留学なのか、スクールなのか、独学なのか?”

 

“留学であればどこの国がいいのか?どれくらいの期間が必要なのか?”

 

“スクールであればどこのスクールがいいのか?”

 

“独学であればどの参考書がいいのか?”

 

なんてとこから調べて決めていかないといけない。
このブログを読んで頂いている人は多分、独学でやっている(やろうと考えている)人が多いと思うけど、独学に絞ったとしても、

 

“キャリアの為にはTOEIC?TOEFL?英検?”

 

“単語帳は必要か?どの単語帳にするか?DUO? 究極の英単語? キクタン?”

 

“リスニング対策はどうするか?とりあえずはTOEIC公式問題集でいいのか?”

 

“文法問題集はどれにするか?一億人の英文法でいいのか?”

 

“音読練習もするか?どのテキストを使うか?音読パッケージか?ゼッタイ音読か?”

 

数えたらキリがない程の「選択」をしないといけない。
英語ができる人のブログなんかを見ても言ってる事はバラバラだし、レベルによっても使うべき参考書は異なってくる。

 

もうメチャクチャだよね。

 

一番の問題は、社会人になってから英語学習をする場合、「これを一日◯◯ページ、◯◯ヶ月やれ!」と断言してくれる人がいなくなる事だと思うんだよね。
受験生の時はさ、先生なり予備校講師がそういう情報くれたんだけど、社会人となると身近に英語がきる人がいない場合、どうしてもAmzonのレビューくらいしか参考にならないし、自分の選択が正しいのかも分からない。

 
要するに、それなりの実績と知識を持った人が「コレを使いなさい!」と後押ししてくれるだけで、随分とシンプルかつ楽になると思うんだけど、現状は参考書を乱発してる出版社は「コレいいですよーー」って言ってるだけで、最終的には自分で比較検討して決めないといけない。

 

本屋に英語ができる店員がアドバイザーとしていればいいのにね。
小説なんかは店員が勧めてくれるサービスしてる書店もあるみたいだけど、英語の参考書は見かけない。

 

私が前に働いていたメーカーの話なんだけど、社内の営業員でさえ、「このAとBってどう違うワケ?」って思うくらい大量に類似製品を乱発してたんだよね。
工業用の樹脂製品なんだけどさ、それを展示会なんかで「300種類を超えるラインナップ!」とか言ってPRしてるんだよ。
まあ、技術力のPRをしようとした結果なんだろうけど、客を全く無視してるよね。
だって、客からすれば混乱するだけだもの。

 

「いや、、で、つまりどれがいいのよ?」って話にしかならない。
だから、私は法人海外営業だったクセにお客の前で自社製品カタログを開くのをある時からヤメたよ(笑)
だって見せるとさ、何種類もサンプルテストする羽目になって、お互い時間の無駄だったから。

 

 

それと同じ事を英語教材の出版社はやってる。

 

だから僕ら英語学習者は混乱するし、「教材を選ぶこと」がいつの間にか目的にすり替わってしまうケースが多い。

 

で、そんな整っているようでメチャクチャな英語学習環境で自分を負のサイクルから守る為にも、これから紹介する2つの点について頭の片隅に置いておいて欲しい。

 

 

1. 期待値の増大

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このTEDの動画の中で、選択肢が多い事による「期待値の増大」の問題が指摘されている。

 

どういう事かっていうと、選択肢が多ければ多い程、「この中に必ずパーフェクトなものがあるに違いない!」って思う事。
例えば、旅行に行こうと思ってネットで検索すると凄い数のプランがヒットする。
そうすると、「ゼッタイに安くてお得なやつがあるハズ!」と思ってしまう。

 

さっき少し触れたシャンプーだってさ、これだけ種類があれば「ゼッタイに自分の髪質にピッタリなのがあるハズ!」って思っちゃうよね。

 

英語の教材なんて星の数ほどあるので、色々と調べて選んでいる過程で期待値のハードルだけ上がりまくっちゃう。

 

その状態で購入すると、「あれ、、思ったより普通、、、?」みたいな状態になってしまう。
例えそれが本当に「最高の選択」だったとしても満足度は下がってしまう。

 

要するに選択肢が多いと本来は感じなくてよかった「ガッカリ感」を持ってしまう可能性が高くなるって事。

 

2. 機会費用

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前述の「期待値の増大」と同時に、選択肢が多ければ多い程、「あっちの方が良かったかな、、、?」っていう後悔の感情を抱く可能性が高くなるという考え。

つまり、選びに選び抜いて期待値上がりまくった挙げ句にガッカリ感を体験した時、「あれだけ選択肢があったのだから、ゼッタイにもっとイイのがあったハズ」と思ってしまうという事。

 

AかBしか選択肢がないケースよりも、100個選択しがあった状況の方が、この後悔度は高くなる。

 

 

3. 英語学習者の負のループ

 

この「期待値の増大」と「機会費用」を英語を独学で勉強している人に当てはめるとどうだろう。

 

星の数ほどある英語参考書をAmazonとか書店で眺めながら「ゼッタイに完璧な1冊があるハズ!」 <– 期待値の増大

 

選びに選び抜いたにも関わらず、なんか勉強がはかどらない。
「やっぱ、他の参考書の方がいいんじゃ?」「あれだけ種類があるんだから、もっといいのが絶対にあるハズ」 <– 機会費用

 

こんな経験は誰にでもあると思う。

 

で、その時に問題なのが、既に購入したものをやり切らずに途中で投げ出して新しいのを買っちゃう事。
これって、英語が伸びない王道パターンなんだよね。

 

英語の参考書って、大体1500から2000円くらいのもんじゃない?
だから買い替えようと思ったらすぐにでも買い替えられちゃうんだよね。
これが車みたく高額なものだったらそうはいかないけど。

 

つまり、買っては投げ出して、また買って、、、の繰り返しにはまっていく。
で、毎回、参考書のせいにしちゃんだよね。

 

これだと全然成長しないし、モチベーションは下がっていく一方。

 

本当に合わない参考書を使っていて効果が出なくて投げ出す人よりも、「参考書が合わない」と思い込んでる人の方が圧倒的に多いと思うよ。
英語学習なんて、初期段階ほど苦しいワケで、どんな参考書を使ってもそれなりに辛い時期はある。
ストレスなくスラスラと覚えられる「魔法の書」なんて無いんだけど、これだけ参考書が世の中にあるとそれを追い求めてしまいやすい。

 

 

4. 対策

 

期待値の増大と機会費用のループは結構強烈で、意志が強い人でも英語をマスターするまでには絶対に数度は経験してる。
私だって、中途半端でインテリアになっちゃった参考書たくさんあるし(笑)

 

そこに陥らないようにするには、いくつか方法がある。

 

 

i. まず、王道とされてるモノを使う。
王道ってのは昔から変わらず売れているやつ。
英検なら旺文社の問題集、TOEICであれば公式問題集、特急シリーズ、究極のゼミシリーズとかね。

 

はっきり言って、この辺を使っていれば他にそれ以上のものは無いと思っていい。
同等のものはあったとしても、それ以上に劇的に効果が上がるようなもんなんてない、と割り切るべき。

 

ii. 買い直しほど遠回りはないと認識する。
3周くらいしないと、1冊の参考書の内容を身につけられないよ。
1周サラーーーっと飛ばし読みして「合ってない」とか言ってるのはね、全く身に付いてない証拠。
参考書のせいではなくて、勉強の密度が全く足りてないし、どれを使っても同じだよ。
つまり、まず手持ちのものを3周する事の方が先決で、他のに乗り換えるのはまた振り出しに戻るという事。

 

iii. 同時進行は3冊まで

 

たまにカフェとかで英語の参考書を山積みにして勉強してる人いるけど、自分のキャパを考えよう。
同時進行でやるには3冊くらいが限度。

 

文法、単語、リスニング、リーディング、総合問題集、、、みたいな感じで何冊も買いたくなると思うけど、それをやっていると1日に全然進まない。
で、「はぁーーー、、、全然終わらない、、、」となってモチベーション下がりまくる。
だから、最大3冊までしか持たない。
そのうち1冊が3周終わったら、新しいのを1冊買う、といった感じで常に手元の参考書の数は一定数以内にキープするべき。

 

 

まとめ

 

英語を勉強するなら、やっぱり「一番イイ参考書」を選びたいし、使いたいよね。

 

だけど、

 

「どの参考書を使うか」

 

よりも、

 

「どれだけやり込んだか」

 

「やり潰した参考書が何冊あるか」

 

って事の方がが遥かに大事。

 

良いものを選ぶのは大切だけど、参考書の違いから生まれる差っていうのは学習密度から生まれる差に比べると微々たるもの。
色々な参考書に目移りしてしまう人は、一旦冷静になって今回紹介したサイクルにはまっていないかを考えてみて欲しい。

 

選択のパラドクスと英語学習 〜 続かない人が陥る負のループ was last modified: 9月 3rd, 2014 by Taka