“英語力ゼロ”な人のための通関士試験対策

通関士の資格が取りたいんじゃ!
けど英語が苦手すぎるんじゃ!


そんな方へ。


通関士試験に挑戦したい気持ちはある。でも英語の存在が視界の端にチラつく。英語使うんか。ほな無理か……。こういう不安は、そもそも通関士試験で求められる英語のレベルをイメージできていない為に起こるものです。

本記事の結論からいうと、英語が苦手でも心配する必要はりません。通関士試験で必要な英語は、TOEICのように読解力を求めるものではなく、「貿易英語」です。英語力というより知識の話です(つまり、知っておけばそれで良いレベル)。

たかぎぶそん

設問が英文だったり、長文を読解したり、解答選択肢が英語、ということはありません。通関実務という科目の問題の一部に英語が使われている程度です。

この記事でわかること

通関士試験に登場する英語の特徴と必要な知識、対策法について知ることができます。英語に不安がありながらも通関士試験に挑戦される方でも合格するための道筋をイメージすることができます。

目次

【大前提】英語が得意だからといって通関士試験に有利なわけではない

私はTOEIC900点超です。
世間一般では英語ができるほうだと思います。

は?自慢かよ!?だったらお前に私の気持ちがわかるわけないだろ!私の英語力の低さを舐めるなよ!?こちとら中2の2学期から「英語できない」一本でやってきてんだよ!筋金入りなんだよ!



どうか落ち着いてください。



英語力が高いからといって通関士試験にあまり有利には働きません。実際に受検して分かりました。通関士試験に登場する英語と、大学受験やTOEICなどの英語では出てくる言葉の種類が違います。なので、TOEICが300点だろうが900点だろうがあまり関係ありません。

英語が得意だろうが苦手だろうが、通関試験に出てくる英語には慣れが必要です。裏を返せば、慣れるだけでよく、「英語力」を身につける必要はありません。

貿易英語と品目表の英語の2つを攻略せよ

慣れておかないといけない英語が2つあります。
貿易英語と品目表の英語です。


まず前提として、通関士試験で英語が登場するのは通関実務という科目の申告書作成問題のみです。輸出申告書が1問、輸入申告書が1問です。それぞれ、問題の題材となる仕入書(Invoice)におよそ5~7個の品目が記載されており、それぞれのHSコードを品目表から引き当てます。

第58回通関士試験 通関実務 輸出申告書作成問題
たかぎぶそん

まだ通関実務の過去問を見たことがない人は見ておいてください。

貿易英語

貿易英語は貿易の実務上よく使う英語です。貿易に携わっていれば毎日のように目にしますが、慣れていない人が見ると(例えTOEIC800点の人だろうと)分かりにくいものが多いです。


例えば、amountは「合計数量」、unit priceは「単価」、description of goodsは「商品説明」、freightは「輸送費」をさします。貿易表現は定型表現なので英語力が高いとか低いという話ではありません。知ってるか知らないかに尽きます。

既に貿易に係る仕事をしている方や、貿易実務検定に合格している方であれば、特別な対策は必要ないと思います。もし上記のような英語に馴染みが薄いと感じるようなら、事前に勉強しておくことをお勧めします。ただ、覚える単語は限られているので、英語が苦手な方でもそこまでストレスなくマスターできるレベルです。

品目表の英語

申告書作成問題では、別冊として品目表が配布されます(下記の画像参照)。仕入書に記載された商品が分類表に記載されているHSコードのどれにあたるかを特定する作業(=分類)を行います。

第58回通関士試験 通関実務 輸出申告書作成問題 別冊(=品目表)


品目表は英語と日本語が併記されているので、英語の意味がわからなくても一応解けるようにはなっています。ですが、仕入書と品目表を見比べながら全く同じ英語表現を探して当たりをつけるやり方はかなり時間をロスしますので現実的ではありません。


品目表にはよく出てくるお決まりの単語やフレーズがあり、これらもまたTOEICなどの英語試験では登場しないものが多いです。知っていれば問題をかなり楽に解けるのですが、知らないと意味の確認にかなり時間をロスしてしまったり、不正解を導いてしまうことになります。

例えば、platedは「めっきをされた」という意味で使われますし、preparedは「調整された」という意味になり、prepared foodとは調整食料品となります。これらは知ってるか・知らないかの問題であって、英語力が高い・低い問題ではありません。

これまで紹介した貿易英語も品目表の英語も、共通しているのは「知ってるか知らないかに尽きる」という点です。通関試験では、長文の意味を理解するような読解力や、リスニング・スピーキングのスキルは全く必要ありません。特定の単語を少し知っておく努力をすれば十分です。



間違っても「英語力が高い方が有利だ」などと考えて、TOEICや英検の勉強を始めようなんてしてはいけません。

通関士試験の英語対策

ここからは、「じゃあどうやって対策すればいいの?」という点について解説します。まず前提として、英語に苦手意識がない方は特別な対策は不要です。問題集や過去問に知らない単語が出てきたら抑えておくという程度で良いはずです。


下記はあくまで英語が苦手な人向けです。

1. 単語リストを作成する

残念ながら、通関士試験に必要な英単語だけを集めた単語帳のようなものは市販されていません。いちばん簡単な対策は、過去問や問題集の中で出会った知らない単語をリストアップし、ノートやexcelにまとめておき繰り返し見返す方法です。


ただ、簡単な反面、「この単語は本当に覚えておいた方がいいのか?」という判断をつけにくいのが悩ましい点です。その場合、毎回必ず出てくる単語は覚えて、それ以外は2回以上見たものは覚えるなどのルールを自分で決めてしまうと良いです。

2. 貿易実務検定用のテキストを使う

貿易実務検定の参考書で貿易英語に関するものが発売されているので、そちらを利用するのも方法です。ただ、通関士試験の内容からは逸れるので、勉強としての効率性に欠けるかもしれません。

貿易実務検定も並行して受検される方や、通関士試験の合格後に貿易関連の仕事に就きたい人などはあえて使ってみてもいいかと思います。

3. 対策用note(作成中)

自分で単語リストを作成するのが面倒な方、貿易実務のテキストを使った学習まで手を広げる余裕がない方のために、私の方で「この単語だけはとりあえず覚えておいて」という内容をnoteにまとめています。完成次第、公開しますので少々お待ちを。

通関士試験に高い英語力は不要。ポイントだけ抑えて効率的な学習を。


通関士試験に高い英語力は必要ありません。

登場する英語はTOEICや英検に登場するようなものではなく、貿易業界で使われる「貿易英語」が中心ですので、高い英語力があったからといってスラスラ読めるものでもありません。英語力が高いから有利でもないし、英語力が低いから不利というわけでもないんです。



貿易英語を知ってるかどうか。それだけです。英語力ではなく、ただの知識です。「ただの知識」とは言いましたが、それを知ってると知らないとでは試験結果に大きな差が生まれますので、最低限の単語は必ず抑えておきましょう。



貿易英語の学習は「英語の勉強」ではありません。貿易業界の専門用語の勉強ととらえたほうが現実にあっています。「英語の勉強」と捉えてしまから英語が苦手な方は手が遠のいてしまい、直前期まで放置してしまう。だから本来であれば難なく読める仕入書も品目表も上手く読めなくて失点してしまいます。



英語に苦手意識がある方は心配になってしまうかと思いますが、きちんと対策すれば全く怖くありませんので、安心して通関士試験に挑んでください。

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