【実際の体験から語ります】30代の転職でTOEIC900点は有利か?TOEICをキャリアップにつなげる戦略も解説。

たかぎぶそんです。


今回は私自身の転職経験から、転職活動においてTOEICがどれくらい有利になるのかについて書きます。

TOEICのスコアが高ければ転職に有利って本当?
何点あれば武器といえるの?
800点あれば海外営業などのグローバル職に転職できる?
業界によってTOEICの評価に違いはある?


キャリアアップのためにTOEICを頑張ってみようか考えてる方は是非ご覧ください。

目次

最初に伝えたいこと:TOEICは魔法の杖じゃない

まず、きちんと理解しておくべきなのは「TOEICは魔法の杖ではない」ということです。

「グローバル化に伴って企業は応募者のTOEICスコアをとても重視している」
「TOEICで高いスコアを持っていると内定率が上がる」

こういった情報は溢れています。PRESIDENTなどのビジネス雑誌では年に数回は英語特集が組まれてますし、ビジネス系の英会話スクールもよく言うセリフです。


もう一度言いますが、TOEICは魔法の杖ではありません。


TOEICの点数が800点でも900点でもそれだけで内定が出るなんてあり得ませんし、業界や職種でTOEICに対する評価はバラつきがあります。私がこれまで2度の転職活動をTOEIC950点というスコアとともに経験してきた、ビジネスマンとして実感です。

英語の講師は「英語を教えるプロ」であって、ビジネスパーソンではありません。正直、彼らが転職市場におけるTOEICの価値を正確に把握しているとは言いにくいのが私の率直な意見です。企業のグローバル職から英語講師に転身する人ってほとんどいません。企業のビジネスの現場でどう英語が使われているかもあまり知らない人が多いと言わざるを得ません。


・毎月のように海外出張で飛び回る
・外資系企業でバリバリ働く
・海外駐在のチャンスを掴む


このようなキャリアを積みたいと考えているとすれば、TOEICは重要な鍵にはなりますが、TOEICだけでは到達できません。必要条件ですが十分条件ではないのです。

たかぎぶそん

もちろん、TOEICのハイスコアによって実現可能な目標です。ただ、TOEICを過大評価するのは危険なので、今回の記事できちんとお伝えします。

統計から英語人材の転職マーケットを把握しよう

TOEICの運営元IIBSが公表しているレポートがいくつかあります。
転職市場におけるTOEICの評価が見えてきますので紹介しますね。

75%の上場企業が英語を使用している


「国際業務部」「海外事業部」「グローバルマーケット部」のような、まさに英語を使う部署があるっていう企業が45.7%ですから約半分です。そういう特定の部署はないけど、日常業務で英語を使う場面があるっていう企業が29.3%。

今の時代、日本という狭い市場を取り合うのではなく、海外に活路を見出している企業が大半という事が見て取れます。やはり英語の必要性は依然として高いことがわかります。

採用時にTOEICスコアを参考にするか?


全体のうち、約7割が「参考にする」「参考にすることがある」と回答をしています。
10社受ければ7社はアナタのTOEICスコアを選考要素に入れる可能性が高いということです。私の経験でいうと、国際系の部署での採用の場合はほぼ確実にTOEICスコアは参考にします。

✔️令和は2極化が進んでいる?

私の感覚ですが、令和にはいってから英語力を求められるポジションと、そうではないポジションの二極化が進んでいるように思います。以前は、英語の読み書きの基礎ができるレベルとしてTOEIC600点を基準としている企業も多かったのですが最近は求人票で600点を基準としている企業をみかけません。

英語を日常的に使うポジションでは800点ほどのハイスコアを求めますが、そうではないポジションの場合は英語の素養を求める企業は減った印象です。

部門別にみるTOEICスコアの期待値

ひとつ前のデータで中途採用への入社時期待スコアは710点でしたが、応募するポジションによってかなり開きがあるはずなので、参考値としてちょっと微妙。もう少し詳しいデータを見てみます。

グローバル化に伴う業務遂行に必要なTOEICスコアというデータ。
オレンジは全社という事ですが、「グローバル展開している企業で働いているが、国際部門ではない」という人も含まれているデータです。

全体平均で600点
国際部門では平均750点

600点はTOEICの全国的な平均とほぼ同等です。
企業からすると、毎日英語をバリバリ使う部署にいなくとも、最低限、「簡単なメールのやり取りくらいはできて欲しい」というところでしょうか。

国際部門では750点。
平均からすると高いスコアです。
受験者のスコア分布のデータからすると、750点以上の人は全体の19%(第236回2018年12月開催)です。

武器になるのは750点が基準になる

先ほどのデータでは、英語を日常的に使う業務が生じる部署ではTOEIC750点が期待値であるといえます。つまり、転職市場では750点あれば、「英語が得意な人材」と評価されると言えます。

750点は独学でも十分に到達できるレベルです。現在のスコアが600点程度の人であれば約200時間学習すれば実現可能と考えて良いと思います。

企業のTOEIC導入状況

TOEICは転職活動(企業から見ると採用活動)でのみ使われるワケではありません。
働いている社員の研修などに使われる事も多いです。

コチラのサイトで詳しく見られます。

挙げられている有名企業だけでも80社程度あります。
英語研修の効果測定や海外赴任の要件として使われています。こういったデータからも企業が従業員に英語力を求めていることがわかりますね。

ここまでをまとめますと、

・75%の上場企業で英語を使う
・70%の企業で採用時にTOEICのスコアを参考にする
・TOEICは750点を超えると「英語が得意」と評価されやすい
・多くの有名企業がグローバル人材の育成を急務と考えている

TOEIC950点をもって挑んだワタシの転職活動

たかぎぶそん

ここからは私の実体験ベースのお話です。

✔️転職活動時のたかぎぶそんのスペック

青山学院の英米文学科卒
TOEIC:950点
貿易実務検定C級
マーケティングビジネス実務検定C級


そんなとこでしょうか。
資格が弱い…。
あ、運転免許もあります…。
ちなみに中型二輪免許もあります…。

応募した企業と選考結果を晒す


恥ずかしいので、あまり見せたくないのですが…。
参考までに私が今回の転職活動で応募したポジションと選考結果です。
求人内容は全て秘匿情報なので、企業名は出せないんですけどね。

応募:21社
書類選考通過:8社
内定獲得:4社


約20%の勝率でした(勝率という言葉が正しいのか分からないけど)。
私はずっと海外営業だったので、営業企画やマーケ系にチャレンジした転職活動で書類の通過率が低くならざるを得なかったことを考えると、まぁまぁ納得感のある結果ではありました。

TOEICの点数が高いと紹介求人数は確実に増える

「で、TOEICは転職活動に有利に働いたの?」


これが気になる点かと思います。
率直に言うとTOEICの点数が高いからといって内定が出やすいという事はありませんでした。こう言ってしまうと、「なんだ。TOEICって意味ないんじゃん」と感じるかもしれませんがそうではありません。

たかぎぶそん

あまり見せたくないけど、改めて晒します。重要なのは、英語力の要件です。

私が応募した求人の多くはTOEIC700〜800点を求めるポジションでした。



「TOEICは転職に有利です」と聞くと、面接に通過しやすいとか内定が出やすいとイメージするかもしれませんが、それは実態と異なります。重要なのは、応募できるポジションの数が圧倒的に増えるという事です。私が応募した求人はどれも転職エージェントから個別に紹介されたものです。当たり前ですが、企業が応募要件とする英語力を満たしていなければ声はかかりません。

たかぎぶそん

TOEICのスコアが高いと紹介される求人数が増えるのでチャンスが広がる、と言えます。


次に書類の通過について。
私はずっと営業職だったので、マーケティングの実務経験はないです。
営業とマーケはある程度は親和性がありますが、基本的にマーケティングや企画という職種は何となく華やかで人気がある反面、募集が少ないです。外部から採用するより、自社の社員で営業を何年か経験した人が異動する部門だからです。

ですが、今回私はマーケティング・企画系の職種でも何社かは面接に呼んでもらえました。理由は海外マーケティングや外資系クライアントを担当するポジションであったからです。

おそらく、国内市場向けのマーケターのポジションであれば、私は書類も通らなかったと思います。
だって、経験者がいくらでもいますからね。ですが海外と仕事をするポジションであれば、「英語ができないマーケティング経験者」と「英語ができるが実務経験のないマーケティング志望者」の両方が候補になってきますので、未経験でもチャンスが広がります。

これはマーケティングに限った話ではなりません。どんな職種でも、「TOEIC800点以上」といった募集要件がついた瞬間に候補者はぐっと減ります。

・プログラマーはたくさんいます。では、英語が堪能なプログラマーは?
・看護師はたくさんいます。では、英語が話せる看護師は?
・工場の生産管理経験者はたくさんいます。では、TOEIC800点をもっている経験者は?


感覚的にはそう多くないですよね?
今はどんな業界でも「グローバル」とか「外国人客」といったものに目を向けていますから、少なからず英語への需要はあります。


ですが、英語が堪能な人材って、集まる業界が偏るんですよ。
グローバル商社・メーカー、航空系、旅行系などです。

そうすると、それ以外の業界では海外や外国人客をターゲットにしたくても、それをできる人が集まらない。
そこにチャンスがあります。

例えば不動産業界。
一般的にはあまり「英語ができそう」というイメージはないと思います。

私が働いている商社の元同僚で不動産業界に転職した人がいます。
勉強して宅建は取っていたようですが、実務経験はゼロ。
年齢は35歳だったので、いくら資格があっても未経験ですから、普通に考えると厳しい転職ですよね。

ところが、彼は数社から内定を貰っていました。
何故なら、応募していたのが外国人客向けの投資物件を扱う企業や、海外のリゾート物件を扱う企業ばかりだったから。


これだけ「グローバル化だ」「外国人客が激増だ」といいながら、日本ではまだまだ英語を話せる人が少ないのが実情です。


需要と供給が合ってない。だからチャンスがある。

ここまでの大事な点をまとめます。


・TOEICのスコアが高いと紹介求人数が増える
・あらゆる業界で英語人材が不足している
・どんな職種でもそこに「英語」「TOEIC800点」という応募条件がつくとライバルは激減し、未経験でもチャンスがある。

TOEICを武器にしやすい業界・業種


ここまでは企業のTOEICに対する評価姿勢を見てきました。
ただ、実態としては業界や業種によってTOEICの評価はかなり変わりますので、TOEICを武器にしてキャリアアップやキャリアチェンジで入りやすい業界や職種について説明します。

日系メーカー

まず製造業です。

メーカーはどこも海外営業が足りません。
特に海外拠点を有する日系メーカーは頻繁に英語人材を募集しています。国内営業から海外営業に転身をはかりたい場合は、従業員数1,000名以上で海外拠点を有する日系メーカーを狙うのがオススメです。

私もそうですが、実際に英語を使って仕事をしている人は「英語ができるからその仕事をしている」という側面と、「その仕事をしているから英語が上達する」という側面の両方があります。まずは、仕事で英語を使う環境に身を置くことが重要です。その意味では、日系メーカーは狙い目です。

特に中堅日系メーカーの海外営業は海外出張も多く、海外駐在の可能性も高まります。基本的に日本本社でコントロールするため、本社から出張にいく機会は何かと多いのです。超大手企業になると、海外現地法人の独立性も強く、本社から若手・中堅社員が出張する必要性が少なく、意外といく機会は少ない印象です。

また、中堅メーカーの管理職の人ってあまり英語が得意じゃない人が多いのも意外と重要なポイント。やや失礼な言い方ですが、自分の英語に自信がないので盲目的にTOEICのスコアを信じる傾向が強いです。そのため、実務経験がなくともTOEICのスコアが高ければ内定は取りやすい傾向があります。

専門商社

次に専門商社。
これも中堅メーカーと同じ理屈で、総合商社よりはるかに内定のハードルが低く、入社後に海外に行く機会も多いです。素材系や自動車部品系など、いくつか業界は分かれますが日系大手メーカーや総合商社の子会社などは求人も多く、年収レンジも割と高いのでオススメです。

メーカー・商社の海外営業職を狙う場合に英語意外に必要なスキル

欲を言うと、貿易知識は持っていた方がいいです。

具体的にいうと、「貿易実務検定」のC級(一番下の級)があるといいです。大学生でも取得している人結構いますし、参考書買って3カ月も勉強すれば割と楽に合格できる資格です。B級とかA級はいらないです。C級があれば実務では十分です。

何故かと言うと、メーカーや商社は基本的には実態のある「モノ」を動かして商売をしますよね。
なので、必ず輸出や輸入がついて回ります。

いくら英語ができても、貿易の事が一切わかっていないと厳しいです。
貿易では世界共通の専門用語(全部英語)が沢山あって、基本的にはその用語を使ってやり取りしますので、理解していると仕事がスムーズに進みます。

通関士はどうか?

通関士は貿易系で唯一の国家資格です。ただ、メーカーや商社ではあまり使わない知識が多いです。大手メーカーや商社には、社内通関士がいることがありますが、そういったポジションは資格をもっているだけではなれず、税関のOBなどを雇うケースが多いので狭き門です。どちらかというと、コンサルティング・ファームでサプライチェーンや関税領域のアドバイザリーを目指す場合に役立ちます。

避けた方がいい業界・職種

「TOEICを武器とする転職」においては避けるべき業界・企業。

まず日系の超大手企業。
学歴フィルターと社格フィルターが強いので、選考が厳しいです。社格フィルターというのは、これまで働いてきた企業の「格」です。一般的に大手から中小企業への転職は楽ですが、逆は難しいです。大手にいたから仕事ができるとは言い切れませんが、「まあ、間違いないだろう」という一種のブランドが働きます。

あなたが高学歴で、有名企業で働いていた(いる)なら問題ないと思いますが、そうでない場合はかなり厳しい戦いになりますし、残念ながらTOEICにはそういうフィルターをブチ破るだけの力はないです。


同様に外資系のコンサルファームなどもTOEICそのものはあまり有利に働きません。「英語できた方が仕事の幅が広がる」という側面はありますが、選考においては英語よりも経験値と地頭を見ますので、TOEICが大きな躍進力にはなりません。

転職エージェントをきちんと選ぶ

TOEICをテコにしてキャリアアップ・チェンジをはかる場合、業界や職種に狙いをつける事に加えて、大事なのがエージェント選びです。

エージェントにも得意・不得意があります。

・外資系企業の求人に強い
・IT系企業に強い
・日系メーカー・商社に強い
・コンサルファームに強い
・とにかく求人数が多い


日系メーカーや専門商社の海外営業職だとJAC Recruitmentあたりが強いですし、外資系メーカーだとRobert Waltersが強かったりします。大手の転職エージェント(リクルート、PASONA、enあたり)は求人数は多いのですが、エージェントの業界に対する専門性が弱いことも多いのであまりいい印象がないです。


例えば、国内営業職と海外営業職は同じ営業という名前がつきますが、仕事の内容も数字の追い方も全然違う仕事です。日系メーカーの海外営業は日々何かをガンガン営業して売るのではなく、海外の子会社や代理店の管理・サポートがメインになりますので、「月間の新規受注件数が社内トップでした!」みたいな国内営業的な功績はあまり役立ちません。そういう事を理解していない転職エージェントが大手には多いです。

TOEIC対策は短期集中で750点を目指す【外資は800点】

転職はやる事がたくさんあります。
業界研究、企業研究、退職理由・志望理由の作り込み、面接対策、適正試験対策などなど。それに加えてTOEICの勉強をするのは結構しんどいです。


なので、TOEICをまず短期集中で取り組みましょう。今600点レベルなら半年で750点を目指す事は十分可能です。最初の方で紹介したデータにありますが、750点あれば武器になります。もし外資を目指す場合、欲をいえば800点欲しいのと、面接自体が英語という事がよくありますので、スコアと会話力が乖離しないように会話力もしっかり伸ばす必要があります。

TOEICの具体的な対策法については過去記事でも紹介しています。



TOEICを武器にしてキャリアアップをするのは楽ではないですが、十分可能です。まずはご自身の現在地を確認し目標に向かって一歩を踏み出して下さい。



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